「ヤングケアラー」とは?その問題点について

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あなたは「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことがありますか?
ヤングケアラーとは「幼き介護者」と訳され、主に家族の介護や世話をしている子どものことをいいます。
2020年頃からメディアでも取り上げられるようになり、徐々に法整備も整ってきています。
今回は、そんな幼き介護者「ヤングケアラー」の現状についてお伝えします。
 

日本のヤングケアラーの現状

総務省が2012年におこなった調査によると、家族の介護をしている15~29歳の人数は約17万7,600人いるとされています。
(参考│平成24年就業構造基本調査

その中でも、18歳前後の時期は勉強や部活などで多忙なものです。
そんな多忙な時期に家事や家族の介護に集中すると、学業に悪影響を及ぼしてしまう可能性が高いことは明らかです。

遅刻、宿題忘れ、欠席ばかりでなく、部活動に参加できなくなることによる、体力・健康面への影響、友達と遊ぶ時間が奪われることによるコミュニケーション能力の欠如などにつながる可能性も示唆されています。
また、大学入試や就職活動と重なるタイミングでもあることから、介護の負担が子どもの進路や人生を左右することもあります。
 

まずは悩みを打ち明けやすい環境作りを

介護者の精神的負担を減らす目的から、2010年に「一般社団法人日本ケアラー連盟」が創設されました。
同連盟がヤングケアラー問題について実施した調査によると、学校の教員が生徒の介護負担に気づいた理由で圧倒的に多かったのが「本人からの聴取」でした。
(参考│一般社団法人日本ケアラー連盟

ヤングケアラーとともに子どもの貧困問題も取り上げられることがあります。
貧困問題の場合は、自治体のケースワーカーによる自宅訪問によって判明するケースが多いです。
しかし、ヤングケアラー問題では、周囲の大人が察知して発覚して判明するというケースはほとんどありません。
たとえば、「学校を休みがちになる」「家庭訪問で判明した」など、教員の行動によって発見されたケースは稀です。

これは、介護者である子どもが周囲に悩みを打ち明けにくい環境であると同時に、本人からのSOSがいかに重要であるかを示しています。
家庭内の介護状況はプライバシーに深く関わる問題なため、他人に話すことをためらう人も多いでしょう。
しかし、事実を知ることで、教員や友達など、周りの人がヤングケアラーをサポートできるようになります。
ヤングケアラーの問題は、気軽に何でも相談できる環境作りを行うことが最も重要です。
 

自分がヤングケアラーだと気づかない子どもたち

幼い頃から家事や家族の介護・世話をしている子どもにとって、それをすることは当たり前の生活です。
つまり、ケアを担っているという意識はなく、自身が「ヤングケアラー」だと気づいていないこともままあります。
そうした原因もあり、「ヤングケアラー」という存在や、支援の必要性は長い間、認識されないまま見過ごされてきました。

しかし、ヤングケアラーに注目が集まる一方、家族などのケアを担う子どもたちを「ヤングケアラー」の一言でくくることに懸念も出てきました。
病気や障害のある家族などのケアを担うことになった背景や理由、抱えている問題や悩みは、心も体も発達途上にあるヤングケアラーにとって大人の介護者以上に複雑です。

そんな彼らを「ヤングケアラー」とひとまとめにして一面的な見方で扱うことは、一人ひとり異なる事情や悩みを抱えたヤングケアラーの心を傷つけてしまう可能性もあります。
そのことに十分に配慮して接しなければなりません。
 

ヤングケアラーとして経験がプラスになることも

ヤングケアラーとしての経験は、決してマイナスなことばかりではありません。
  • 病気や障害についての理解が深い
  • 十分な生活能力を身につけている
  • マルチタスクをこなせる
  • 聞き上手である
などプラスの影響があることも示唆されています。

このように、ヤングケアラーのことを多方面的に捉え、理解することも必要です。
 

ヤングケアラーにとって望ましいサポートとは?

ヤングケアラーには親、祖父母など年長者のケアをしている人だけでなく、障害を持つ兄弟姉妹のケアをしている人もいます。
小さい頃から当然のように親と一緒にケアを分担しているケースもあり、本人もそれが当たり前の生活になっています。
しかし、子どもとしての様々な楽しみを諦めざるをえないこと、そしてそれを嘆くことに罪悪感を覚えてしまう環境もあり、問題はより深刻かもしれません。
本人たちが介護を担っていることを語りたがらないケースも多く、表面化しにくいことも大きな問題です。

問題解決のために、まずはヤングケアラーの思いや悩みを対話によって解きほぐしていくサポートが重要になってきます。
例えば、ヤングケアラーが「学校に行くより家族のケアをすることに意味がある」と言ったとき、その思いを否定するのではなく、「なぜそう思うようになったのか?」「どういう条件が整ったら学校に行っても良いと思えるのか?」をじっくり聞き出していくことが大切です。
そうすることで、ケアの内容、負担の大きさを具体的にイメージしたサポートができるようになります。
 

まとめ

ヤングケアラー問題を解決していくためには、法整備による支援はもちろん必要不可欠ですが、何よりもまずは大人と子どもたちの間で風通しの良い信頼関係を築いていくことが重要になります。
コミュニケーションをしっかり取ること、話し合って問題を明確にしていくことが解決の糸口になります。
 

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