メディケア・リハビリ研修会「認知症の方の意思決定に支援者ができること」開催報告

2012年の時点で日本の65歳以上の認知症高齢者数が462万人。
約7人に1人(有病率15.0%)が認知症であると言われています。
2025年には約5人に1人が認知症高齢者となる予想もされており、今後、認知症の方に対する医療行為も増えていくことになります。
しかし、認知症といえば一般的に記憶障害や理解力の低下などのイメージがあり、そのために認知症の方は、例えご本人に対する医療行為であっても、意思決定能力や同意能力が薄いと判断されてしまうことがあります。

果たして、本当にそうなのでしょうか…?

「認知症」だからといって、簡単にご本人ではなくご家族に決定権を委ねてしまっていませんか?

認知症の概論

本研修会では、京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学の教授で医師でもある成本迅先生に講師を務めていただきました。

認知症は早期診断できる症状です。早期に見つけることで認知症に対する治療を早くから始めることができるので、症状の改善はもちろん、悪徳商法や詐欺などの被害防止にもつながります。
「認知症」といえば、早期診断・早期治療の話題が多いかと思います。
しかし、実は司法書士が後見人についた高齢者の22%が、すでに振り込め詐欺や高額の布団販売、外国の宝くじ販売、悪質な置き薬などの権利侵害を受けているという報告があります。
身体的・精神的な症状はもちろん、経済面で何らかの被害を受ける可能性がある、それが「認知症」です。
これらを防止するためにも、早期に診断し、周囲の支援者が気を付ける必要性があります。

また、認知症の方の80%以上が精神症状によって生活がしづらくなる経験をしています。
抑うつ症状によって意欲や自発性がなくなったり、不眠によって昼夜が逆転してしまったり、幻覚や妄想で興奮して転倒してしまったり。
しかし、不眠や抑うつなどの精神症状も認知症と同じく、早期診断によって予防や治療が可能な部分でもあります。
これには支援者から医師への情報提供が重要になります。

  • その方がどのような生活を送っているのか。
  • どのような経緯をたどってきたのか。

家族を含めた支援者が医師へ積極的に情報提供する、これも「支援者ができること」のひとつです。

意思決定支援と同意能力評価

意思決定支援

意思決定支援には、本人と支援者間で双方向の情報共有、そして支援者同士の方向性を一致させることが重要です
それには「SDM」という考え方が大切になります。

「SDM(Shared Decision Marking)」とは

医師と患者本人が意思決定の課題に直面したとき、利用可能な最善の情報を共有し、情報に基づいた目標を達成するために、患者本人が選択肢を検討することを支援するアプローチのことです。
従来の医師主体で治療を決定するパターナリスティックと、患者主体で決定するインフォームド・コンセントの間に位置するような考え方です。

この考えは医師の治療だけでなく、医療・介護分野に携わる支援者にも繋がるものだと思います。

同意能力評価

指示に従わない=同意能力がない
まず、これは間違いです。
成本先生が開発された評価尺度では、同意能力を「理解」「認識」「論理的思考」「選択の表明」という4つのカテゴリから評価していきます。
それぞれに定義があり、系統立てて評価していくことで、目の前の患者本人がどの部分が苦手なのか。その苦手な部分を工夫することで本人の意思を尊重した支援ができないかを考えていくものです。
研修会では事例を基に評価から工夫の例をお話いただきました。

認知症の概論から研修会テーマである意思決定支援・同意能力評価、最後にこれまでの取り組みまでを詳しくお話していただき、いち支援者としても大変有意義な時間となりました。

今回の研修会には経験年数10年以上の方が多く受講されており、ご本人やご家族の人生を大きく左右する意思決定の場面に同席される中でいろいろと悩まれていることも多いと思います。
今回は、そんなお悩みにスポットを当てた研修会なりました。
また、医師・看護師・リハビリテーション職・ケアマネジャー・介護士などの多職種の方にご参加いただき、メディケア・リハビリ研修会が目指す「多職種連携を基盤にした研修会」になったと思います。

 

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