認知症の転倒予防のリハビリ「体を鍛えること"以外"の転倒予防対策」

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認知症がある方は、体を鍛える以外にも別の観点での「転倒予防対策」が必要になることが多くあります。

  • 認知症がある方に関わる時、どのようなことに注意すればいいの?
  • 体を鍛える以外、どういったリハビリをすればいいの?

今回は筋力”以外”でできる認知症の方の転倒予防対策についてご紹介します。

何をおいても、まずは”環境設定”が大切

  • 玄関、お風呂、廊下に手すりを設置する
  • 段差を解消する

など、

  • 注意が逸れていてもつまずかない
  • 体力が劣っていても転倒しない工夫

をすることが大切です。

移動する範囲の床に物を置かない、絨毯やカーペット(少しの段差でも転倒のリスクがあります)を撤去するなど細心の注意で環境設定を行いましょう。
スリッパも転倒しやすくなる原因のひとつです。なるべく履かない・床に置かないようにしましょう。

福祉用具を活用する

介護保険制度を利用した福祉用具貸与(レンタル)で「離床センサー」を自宅にレンタルすることもできます。

様々なタイプがあり、

  • 車椅子用の座布団タイプ
  • ベッド横の床に敷くタイプ
  • 玄関先に置くタイプ

などがあります。
病院・施設などでは一般的に利用されていますが、在宅ではまだまだ普及していません。

車いすのブレーキレバー、手すりを目立たせる

車椅子のブレーキレバーや手すりに赤いテープを巻くなど、目立たせることで、自然に支持物を掴むように誘導する方法もあります。
車椅子はブレーキを忘れて立ち上がったり座ったりすると車輪が動いてしまい、とても危険です。
また、ブレーキを目立たせることによって、ブレーキを掛ける癖がつくようになります。

転んでも怪我をしにくい環境調整

転ばないことはもちろん大切ですが、万が一転んでしまっても、怪我をしにくい環境を整えておくことも大切です。

  • 床にクッションフロアなど柔らかいものを敷きつめる
  • 夜間はベッドの高さを低くしておく
  • ヒッププロテクターを利用する

ヒッププロテクターはあまり一般的には知られていませんが、転倒による大腿骨頸部骨折を防ぐ福祉用具として科学的根拠もあり、非常に有効とされています。
購入を検討される方は、介護ショップなどで聞いてみるか、ネット通販でも購入できます。

リハビリによる認知症の方の転倒予防

転倒に関係する因子は筋力だけではありません。
バランス練習や動作練習を複合的に行っていくことで、より転倒しにくくなります。
一部の例として、以下をご紹介します。

二重課題(Dual Task -ディアル タスク-)

バランストレーニングとして、二重課題を行います。

具体的には、歩行しながら紙コップに水を入れてこぼさないように歩いたり、計算をしながら歩いたりする練習をします。

上述のように、認知症の方が転倒するのは、注意が自身の体から逸れてしまった場合に多いです。
なので、わざと注意が逸れる状態を作り、無意識でも安全に歩けるように練習します。

日常生活でも、認知症がない人は歩きながらスマホを見たり、何かを考えながら歩いても勤務先から自宅へ帰ることができます。
しかし、認知症の方は歩きながら会話をしたりするのが苦手で、歩行中に話しかけると歩行が止まってしまうことが多いです。

二重課題はDual Task(デュアル タスク)とも言われ、転倒予防のバランス訓練として有効とされています。

二重課題には、

  • 運動課題
  • 認知課題

の2つがあり、「運動課題」は上記のように

  • 水を入れたコップを
  • 歩いて運ぶ

などの二つ以上動作をすることをいい、
「認知課題」は、

  • 歩きながら
  • 100から7を引いていく計算を行う

”セブンシリーズ”などがあります。

移乗動作練習

トイレから車いす、車いすからベッドなど、転落しないように、

  • 車いすの操作
  • 移乗動作方法の定着

を図ります。
しかし、言葉では安全な動作方法が伝わらず、逆に混乱を招いたり、不安や緊張を強いたりして逆効果になることがあります。
言葉で伝えようとしても伝わらないので、伝えている側も焦ることがあります。
その焦燥感を本人が汲み取り、リハビリを拒否されるようになったり、暴言や暴力に発展したりしかねません。

そこで、ノンバーバル(言語以外)のコミュニケーションを意識して関わると、意思疎通が行いやすかったり動作が定着しやかったりする場合があります。
バーバルはそのまま「言語でのコミュニケーション」を指し、ノンバーバルは「言語以外のコミュニケーション」を指します。

例えば、

  • 模倣(自分がやっていることを真似してもらう)
  • ×、○、OK、など指でするしぐさ
  • 力を入れてほしい(筋肉の収縮を促したい)ところをポンポンと軽く叩いて意識を向ける(タッピングとも呼ばる)

などを用いて伝える工夫をすると、それだけでお互いの関係性が安定し、意思疎通も行いやすくなります。

まとめ

基本的にリハビリでは”その人に合った方法”を模索します。転倒を予防する目的のためにリハビリを行うのであれば、体を鍛える方法以外にも様々な方法があり、その人やご自宅の環境に合わせて提案させていただきます。

まずは、メディケア・リハビリの訪問看護ステーションまでお問い合せください!

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