「食べるために必要な座位と上肢機能」研修会開催のご報告

今回の研修会では、山本伸一先生(作業療法士 / 一般社団法人 日本作業療法士協会副会長 / 山梨リハビリテーション病院 リハビリテーション部副部長)に講師を務めていただき、脳卒中の後遺症がある方と食事の関係を中心に、食べるために必要な座位と上肢機能についてお話いただきました。
当日は100名を超える方にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。

医療・介護の専門職である我々が提供しているのは、「感覚」や「知覚」です。
この「感覚」や「知覚」をより良い状態にすることが「食べる」準備につながります。
そして「食べる」という行為の主体性を高め、食べる力を最大限活かすために多職種が連携してお互いに伝えあうことが重要です。

食事動作と脳卒中の関係

正常な食事動作には、姿勢(上肢の動き・下肢の位置)や咀嚼・嚥下、五感など様々なものが複雑に絡み合って成立しています。
脳卒中対象者は姿勢に加えて食物の知覚、視空間知覚、触運動覚、聴覚などの問題を抱えていること多いです。
このことにより、過緊張状態になりやすく、食物との協調関係が取りづらくなり、食事をするというより、「口に物を入れる」という感覚になってしまいます。
これは、「おいしく食べたい」という欲求までをも失くしてしまう可能性があります。

座位の特徴

  • 手指の巧緻的な活動を行う際に取ることが多い姿勢。
  • 様々な重心移動がしやすい。
  • 寝返り、立ち上がり、立ち座り、歩行なども座位の影響を受けやすい。

 

座位姿勢チェック

  • 足の裏はしっかりと床についていますか?
  • 両下肢は対称的であり、膝が過剰に開いたり閉じたりしていませんか?
  • 骨盤が過剰に前傾・後傾していませんか?
  • 背もたれに過剰にもたえていませんか?
  • 姿勢が崩れていませんか?
  • 頭部の位置が下肢・骨盤から悪影響を受けていませんか?

 

食事をする際に使用する道具

●スプーン
スプーンは丸みを帯びた形状を利用して「すくう」「かく」「まぜる」等の動作によって食べ物の状態を感知しやすく、コントロールしやすいことが特徴です。また、食材や用途に合わせて様々な形状のものがあります。

●お箸
お箸は食べ物の重さを受け止めて重心を安定させることが大切。そのため、固定して持つ下のお箸が重要になってきます。
箸先から感じられる食べ物を掴むときの抵抗感と、手の延長として使える点がお箸の特徴です。

道具(スプーンやお箸など)の操作チェック

  • 道具が本人の身体に「しっくり」馴染んでいますか?
  • 道具の先に対象物を感じていますか?
  • 道具を使ってみて、本人が扱いやすいと感じていますか?
  • 操作をしている対象物(固いもの、柔らかいもの、液体など)の特性を活かせていますか?
  • 生活に取り入れやすいものですか?

 

食事介助するときの注意点

食事は人の生理的欲求のひとつなので、直接介入は難しい場合があります。
そんな時は、お手玉や大きめのビーズなどを食べ物の代用に使用すると介入しやすいです。

また、直接介入する場合は、下記の点に注意することがとても大切です。

  • 本人の「食べる」を邪魔しないこと。
  • 肩の拳上・肘の後退は無理のない範囲で避けること。
  • 体幹を介助する場合は、前方に重心が移動するようサポートすること。

 

まとめ

食事は人にとって希望です。
本人が美味しく、楽に食べるために必要な上肢機能と座位姿勢を保つためには、チームで連携して取り組むことが重要です。

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次回のハートケアグループ メディケア・リハビリ研修会は「より良く暮らすための、お薬との付き合い方」です!

私たちが支援している方々にとって、お薬は身近な存在です。
しかし、支援者たる私たちに正しいお薬の知識はあるのでしょうか?
「訪問薬剤師って何ができるの?」
「睡眠薬は転倒しやすいの?」
「便秘の薬って何を飲めば良いの?」
「食事の時に気をつけることはあるの?」
「多剤処方(ポリファーマシー)って何?」
「生活」を支援している私たちにとっても、「生活」に影響を与えるお薬の知識はとても大切なものです。
今回は私たちにとっても身近お薬をテーマに、多職種で共に学び、振り返り、考える機会にしましょう。

▶開催日時
開催日:2021年5月19日(水)
時 間:19:00 - 21:00
場 所:Zoom(オンライン配信)
参加費:2,000円(参加費)
定 員:100名
お申込:https://care-medi210519.peatix.com

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