大腿骨頸部骨折とリハビリテーションとは

大腿骨頚部骨折とは 大腿骨頚部骨折のリハビリ 大腿骨頚部骨折の原因 大腿骨頚部骨折の要因 大腿骨頚部骨折術後の過ごし方

高齢になるにつれて、筋力低下や転倒により骨折される方が多くなります。
ある調査では、90歳に達する人のうち、なんと女性は3分の1、男性は6分の1が大腿骨を骨折しているといわれています。

骨折の中でも特にリハビリで関わることが多いのが「大腿骨頸部骨折」です。
今回は、そんな「大腿骨頸部骨折」のリハビリについてお伝えします。

 

大腿骨頸部骨折とは?

大腿骨とは、足の付け根からひざまでの太ももの骨のことをいいます。
大腿骨は股関節と繋がっている部分が曲がっており、そこを「大腿骨頸部」といます。

この部分が転倒や転落により外力が加わり骨折してしまうことを「大腿骨頚部骨折」といいます。

また、高齢者に多くみられる大きな要因として「骨粗しょう症」が挙げられます。

 

大腿骨頸部骨折の特徴

  • 骨折部が関節内のため血行が乏しい。
  • 大腿骨頭の栄養血管である内側大腿回旋動脈が骨折により損傷されやすい。
  • 受傷前から骨粗しょう症を有している人が多い。そのため偽関節となりやすい。

主に上記の3点が挙げられます。

 

どんな人が骨折しやすい?


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高齢者に多く、特に女性に多いといわれています。
40歳くらいから増加していき、70歳を過ぎると急激に増加する傾向があります。
歩行能力の低下や認知症を有している場合は、予後不良になりやすいことが多いです。

危険因子として、

  • 骨密度の低下
  • 認知症
  • 脳卒中
  • 心疾患
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 変形性膝関節症

などが挙げられます。

また、直接の因子として転倒があります。
在宅で転倒されたり、デイサービスなどの利用時に転倒して骨折するというパターンが多くあります。
そのため、高齢になるほど転倒のリスクは上がり、頻度も増えてきます。

 

術後のリハビリテーション

骨折後の主な手術方法として、「人工骨頭置換術」と「骨接合術」のどちらかが行われます。

転位型では「人工骨頭置換術」。
非転位型では「スクリュー」か「SHS(sliding hip screw)」が主となります。

術後早期は疼痛管理や褥瘡予防が大切です。
ベッド上でのポジショニング(姿勢の調整)を行います。

また、できるだけ車椅子座位など離床を促し、足に体重をかけるようにしていきます。
歩行訓練では、平行棒や歩行器などを使用して少しずつ荷重量を増やしていきます。

 

退院後の生活で注意すること

退院後の生活で注意すべきことは転倒です。
高齢者は骨折しやすく、複数回転倒することで予後が悪くなってしまいます。

大腿骨頸部骨折だけでなく、大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折、橈骨遠位端骨折などを受傷することもあります。

転倒しないためにも、屋内や屋外時の階段昇降や段差、歩き方、不整地の場所などを注意して過ごしていくことが大切です。

また、段差がある場所やお風呂、玄関に手すりを付けたり、福祉用具や住宅改修など行なったりすることも一つの対策になります。

しかし、転倒ばかりに注意が行ってしまうと、今度は活動量が低下してしまいます。
活動量の低下により精神的にも影響が出てきやすいため、ちょっとした自主トレーニングなど小さなことから始めていくことが大切です。

 

転倒や骨折の予防


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活動量を低下させないことが大切です。
上記でも書きましたが、転倒は予後が悪くなりやすいです。
しかし、ずっと家にいたりベッド上で横になっていたりすると活動量が低下し、筋力や関節など身体的に影響が出てくるだけでなく、精神面にも影響がでてきます。

まずは、自宅で安全に過ごせるように移動時は杖や壁伝えなどの移動方法を検討していきます。
また、生活をしていく上で、入浴やトイレなどを安全に行うための環境を整える必要があります。
手すりなどの福祉用具を活用するだけでも、安全で安心な生活を送ることができます。

 

栄養も大切


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高齢になるにつれ、カルシウムやビタミンなどの栄養が不足しがちになります。
そうならないように栄養も大切です。

特に不足しやすいと言われているのが、下記の栄養です。

  • タンパク質
  • カルシウム
  • ビタミン
  • 食物繊維

ほかにも、消化機能の低下や嚙む力、飲み込む力の低下などもあります。

また、食に関しての興味や意欲低下も挙げられています。
ぜひ、栄養面にも気を付けて過ごしていきましょう。
どうしても栄養が偏ってしまうという人は、市販されている栄養補助食品を利用するのも一つの方法です。

 

自主トレーニング

自分の体を維持していくためにも、自主トレーニングは大切です。
まずは少ない負荷から始めていき、少しずつ負荷量を挙げていくことがポイントです。

●膝伸ばし運動 

椅子などに腰かけて、左右交互に膝を伸ばします。
このとき、つま先は出来るだけ上に向けた状態で行います。

 

●足踏み運動

椅子に座って膝を上に持ち上げて足踏みを行います。もし余裕がある方は、立って行ってみましょう。
その時に恐怖心や不安感があれば、手すりや壁などの支持物を持って行うようにして下さい。

 

●ボール挟み

椅子に座り、両膝の間にボールを挟みます(※ボールは柔らかめがやりやすいです)
ボールを潰すように両脚で閉じて開くことを繰り返します。

 

●かかと上げ

椅子などに座った状態でかかとを持ち上げて床から離し、一呼吸ののちにふたたびかかとを床へ下ろす動作を繰り返します。
余裕がある方は立って行うと負荷を大きくすることができます。
なお、立って行うときに恐怖心などあれば、支持物に掴まると安全に行うことができます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。
転倒は生活していく中でよく起こります。
転倒しないためにも、生活習慣や生活する環境を整えることが大切です。
また、栄養にも注意をしていき、安全に過ごせるよう気を付けていきましょう。

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