心臓病と心臓リハビリテーション

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厚生労働省が発表している「平成18年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」の日本人の死亡原因によると、1位は癌ですが、死亡原因の第2位は心臓病となっています。

大きな要因としては、

  • 欧米化した食事内容
  • ストレス
  • 運動不足
  • 喫煙

などが挙げられます。
つまり、心臓病は身近な疾患となっているのです。

 

そんな心臓病に対して行うリハビリテーションがあります。
今回は、意外と身近な病気である心臓病や心臓リハビリテーションについてご紹介します。

 

心臓病

心臓病の中には心不全虚血性心疾患心臓弁膜症と呼ばれる疾患などがあります。

また、虚血性心疾患の中に狭心症と心筋梗塞があります。

心臓病は、生活スタイルや加齢などにより、誰でも患う可能性のある病気です。

 

狭心症とは

狭心症は動脈硬化(血管の弾力が無くなり、硬くなった状態)が進んで、心臓の血管の内腔が狭くなり血流が悪くなった状態をいいます。
なお、狭心症は2種類に分けることができます。

 

①労作性狭心症

走ったり、階段を昇段したりと酸素をたくさん使ったときに症状が強くなりやすい狭心症。
動脈硬化や血管内の「プラーク」と呼ばれる脂肪やコレステロールの塊によって冠動脈の血管の通り道が狭くなり、血流障害が起こることが原因です。

 

②安静時狭心症

活動をしているときではなく、安静にしているときに症状が出る狭心症です。
安静時狭心症では寒さや冷え、ストレスなどによって心臓の筋肉がけいれんを起こしてしまい、一時的に血流が悪くなることで生じます。

 

狭心症の症状

  • 動悸や息切れ
  • 胸を圧迫されるような痛み
  • 歯や顎の痛み
  • 左肩から腕にかけての痛み

 

心筋梗塞とは

心筋梗塞は、心臓に血液が届かなくなって、酸素不足となり一部の心筋が壊死してしまう病気です。
年間約15万人が発症し、そのうちの約30%が亡くなっていると言われています。

 

心筋梗塞の症状

  • 20分以上続く、胸の痛み
  • 呼吸困難
  • 冷汗
  • 嘔吐

などがあります。
心筋梗塞を起こす前兆として、数日〜数週間前くらいから狭心症発作の症状が起こることがあるとされています。

 

心臓リハビリテーションとは

心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)とは、心臓病(心筋梗塞・心臓手術後・心不全など)の患者さんが、体力を回復し快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することを目指しておこなうプログラムです。

運動を行い、体力をつけることだけではなく、栄養面や生活面にも関わります。栄養を考えた食事や生活上で注意することなど、安心して生活ができるように進めていきます。また、精神面のサポートも行なっています。

 

心臓リハビリテーションの効果

公益財団法人日本心臓財団ホームページによると、心臓リハビリテーションを行うことにより、行わなかった場合と比較すると、

  • 心血管病による死亡率が26%低下
  • 入院のリスクが18%低下
  • 入院が25%減少し、心不全による入院が39%減少

などのメリットがあるとされています。

 

他にも・・・

  • 運動能力・体力の向上により、日常生活で息切れなどが軽くなる
  • 筋肉量が増えて楽に動けるようになり、心臓への負担が減る
  • 血管が広がりやすくなり、身体の血液循環がよくなる
  • 動脈硬化が進みにくくなる
  • 血管が広がって高血圧が改善する
  • 運動を行うと仕事や家庭生活、社会生活の満足度が高くなる

など、様々な報告がされています。

 

狭心症や心筋梗塞の予防方法

では、どのようにすると狭心症や心筋梗塞を予防できるのでしょうか?

 

動脈硬化の予防

原因となる動脈硬化を防ぐには、食事や運動によって生活習慣病を予防することが大切です。
その他にも睡眠時間の確保やリラクゼーションなどのストレス対策も重要です。

 

食事を見直す

低脂肪の食事をすることで、肥満を防ぎ、心臓への負担を減らすことができます。

糖質を控える。

適正カロリーの食生活・・・一般的な適正摂取カロリーは、標準体重×25〜30 kcalといわれています。
 標準体重は「身長(m)×身長(m)×22」で算出できます。

減塩(1日6g未満)・・・高血圧などの重症化の予防のために、塩分の制限をします。
 味付けを変えるなど工夫をしましょう。
 たとえば、ゆずやしそなどを使用して、味付けをかえる。
 ラーメンなどのスープは飲まないようにすることで減塩できます。

不飽和脂肪酸を多く含む青魚を食べる
 サバ、サンマ、イワシなどの青魚には動脈硬化、高血圧の予防、LDLコレステロールの低下の働きがあります。
 また、血栓ができるのを防ぎ(抗血栓作用)、血流を良くしてくれます。
 2日に1回もしくは週に1〜2回は青魚を摂取するようにしましょう。

野菜から食物繊維、ビタミン、ミネラルを補う
 野菜や果物に含まれている食物繊維は、血中の余分なコレステロールや塩分を排泄する働きや、血糖値の上昇を抑える働きがあるため、摂取が推奨されています。

適量のアルコール(日本酒1合)やカフェイン摂取
 過度なアルコールやカフェイン摂取は神経を興奮させ、心臓に負担をかけてしまいます。

 

運動を行う

ウォーキングや水泳、ジョギング、自転車などの有酸素運動を行うことが推奨されています。
頻度としては、30分以上で週に3〜4回程度です。
運動することにより、動脈硬化の予防に繋がります。
また、有酸素運動と並行して、筋力トレーニングを行うと、運動中の心臓への負担を減らすことができます。
そのため有酸素運動と筋力トレーニングを並行して行うことが理想です。

 

ヒートショックに気を付ける

日常生活ではヒートショックに注意すると良いとされています。
ヒートショックとは、家の中の急激な温度差により血圧が大きく変動する現象のことです。
最悪の場合、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体へ悪影響を及ぼすことが示唆されています。

ヒートショックは、特に入浴の際に起こりやすいといわれています。
脱衣所など、寒い所に行くと生理的な反応として、体の熱を外へ逃がさないようにするために血管を細くして、血液の量を減らします。
血管が縮むと、血液が流れにくくなるので、血圧は急上昇します。
その後、浴槽の暖かい湯船につかることで、血管は拡張し、急上昇した血圧が今度は急激に低下してしまいます。
この血圧の大きな変動で心臓に負担がかかってしまいます。

 

ヒートショックの予防方法

入浴前と入浴後に水分を補給する・・・入浴すると汗をかき、体内の水分が減り、血栓ができやすくなります。脳梗塞や心筋梗塞のリスクになるため入浴前と後で水を飲むようにしましょう。

食後1時間以上空けてから入浴する・・・食後は胃などの消化器官に血液が集まるため、血圧はやや低くなっています。低い状態で入浴すると血圧の変動が大きくなるため、ヒートショックになりやすくなります。

部屋間の温度差をなくす・・・脱衣所や浴室などに暖房器具を設置することが大切です。室内を温めておきましょう。暖房器具がない場合は、お湯を張った浴槽のフタを開けておく事で、浴槽内を温めることができます。また、浴室に入る順番を変えるのも一つです。2番目以降に入ることで、浴室が温まっている状態で入ることで血圧の変動を少なくすることができます。

浴槽の湯温を低めにする・・・浴槽の温度が高いと心臓に負担がかかりやすくなります。38°C〜40℃程度で入るのがおすすめです。温度が低いと感じる方は、熱いお湯を足して徐々に温めるようにしましょう。

 

まとめ

狭心症や心筋梗塞などの心臓病は、生活スタイルや生活習慣病、加齢などにより発症する可能性があります。
心臓リハビリテーションを行い心臓への負担を軽減することや、生活の環境に注意し、安全に生活することが大切です。
少しでも参考になれば幸いです。

参考)
厚生労働省ホームページ:平成18年 人口動態統計月報年計(概数)の概況:死亡原因
公益財団法人日本心臓財団HP

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