意外と多い!?睡眠時無呼吸症候群の症状、予防と対策

睡眠無呼吸症候群 SAS 生活習慣病 予防と対策 脳の酸素不足 いびき 口呼吸から鼻呼吸にかえる

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中の呼吸が止まったり、浅くなる症状を何度も繰り返す病気です。
一時期、テレビなどのメディアで頻繁に取り上げられていたのでご存知の方も多いと思います。

しかし、その予防法やリスクなどはあまり知られていません。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は大きないびきを伴うことが多く、10秒以上呼吸が止まると無呼吸状態になり、無呼吸は脳の酸素不足を引き起こします。
その他にも様々な病気を引き起こす引き金になる病気です。

睡眠時無呼吸症候群は様々な病気と関連している

睡眠時無呼吸症候群は、体に取り込まれる酸素の量が減少するため心臓や血管にも負荷が掛かり動脈硬化を悪化させる要因となり、生活習慣病との関連も指摘されています。
また、睡眠時無呼吸症候群は心臓病を引き起こす危険性が高く狭心症・心筋梗塞になる危険性が2~3倍、不整脈になる危険性が2~4倍というデータもあります。(※1)

脳卒中も健常人と比べて発症リスクは2倍高く、SASの重症度が高いと死亡率が上昇(1.75~3.30倍)することが報告されています。(※2)
このように睡眠時無呼吸症候群は、様々な病気を発症する要因となるため「特に生活に支障ないから…」と放置せず、診断を受ける必要があります。

※1 SAS対策支援センターHP ※2 Yaggi HK, et al. N Engl J Med 2005; 353:2034-2041 

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群の症状は、睡眠中の無呼吸やいびきだけでなく日中にも出現します。
日中・夜間の代表的な症状は下記になります。

日中の症状

  • 起床時の頭痛

  • 日中の眠気

  • 体がだるい

  • 集中できない

といった症状が現れます。 

特に重症の方では、自覚症状がないまま日中の意識消失を起こす危険もあります。
自覚症状がない場合は、治療の開始が遅れがちです。
一緒に寝ているパートナーの睡眠状況を確認しましょう。

夜間の症状

睡眠中である夜間に現れる症状としては無呼吸の他にも、多くの方に激しいいびきが現れます。
いびきが突然止まり、しばらくしてからまた大きないびきを再開することが繰り返しおこります。
他にも、深い睡眠がとれないために、夜中に目が覚めたり、頻回にトイレに行きたくなるなどの症状もみられます。

いびきや無呼吸には本人が気づかないことも珍しくありません。
家族にいびきや無呼吸を指摘された場合には、睡眠時無呼吸症候群かもしれないと考えてみると良いかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群の予防と対策

睡眠時無呼吸症候群の大きな原因の一つは肥満です。
加齢とともに内臓脂肪がつきやすくなり、喉や首回りの筋力も衰えてくると言われています。

喉や首回りの筋肉は呼吸に重要な役割を担っている筋肉であるため、筋力が低下することにより気道が狭窄して無呼吸が起こりやすくなります。
適正体重や全身の筋力を維持するために、日ごろからウォーキングなどの適度な運動を行うことは、睡眠時無呼吸症候群の重要な予防方法です。
また、運動にかかわらず栄養バランスのとれた食事、ストレスを溜めない規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。

予防策①禁煙

タバコの煙は、鼻の粘膜など気道系に慢性的な炎症を引き起こします。
この慢性的な炎症は空気の通り道である上気道の狭窄リスクを高め、無呼吸の原因となります。
喫煙者は非喫煙者に比べて睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高いようです。
また、禁煙によって若干症状が改善したという報告もあります。
睡眠時無呼吸症候群を予防するためにも、禁煙を心がけましょう。

予防策②過度な飲酒や寝酒を控える

過度な飲酒や寝酒を控えることも、睡眠時無呼吸症候群の予防として有効です。
アルコールには喉の筋肉の緊張を緩める働きがあります。
上気道の筋肉が弛緩することにより、喉が狭くなってしまったり、場合によっては閉塞してしまうため、呼吸がスムーズに行えなくなり、無呼吸となります。
とくに就寝前の飲酒は控えたほうが良いとされています。

予防策③睡眠薬をなるべく控える

睡眠薬にもアルコールと同様に喉の筋肉を弛緩させる作用があります。
とくにベンゾジアゼピン系の睡眠薬は呼吸に影響を及ぼしやすく、睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させることが指摘されています。
睡眠薬の日常的な使用はなるべく避け、もし内服が必要な場合には市販薬は使用せず、医師に相談して処方薬を内服するようにしましょう。
また睡眠薬を使用するときには、アルコールとの併用は避けましょう。

予防策④口呼吸から鼻呼吸に変える

口呼吸から鼻呼吸に変えることで、無呼吸が改善されやすいことが指摘されています。実際に、口呼吸は鼻呼吸よりものどが閉塞しやすくなります。
口呼吸の人が鼻呼吸に変えるだけで無呼吸が改善することもあるそうです。
呼吸は鼻から行うようにしましょう。

予防策⑤寝る姿勢を変えてみる

睡眠時無呼吸症候群の方は、仰向けで寝ていることが多いようです。
仰向けで寝ていると、重力によって舌の根本である舌根(ぜっこん)が気道に沈みやすくなります。
舌根が沈み込むことによって気道が狭くなり、無呼吸が引き起こされやすくなります。
症状の軽い方やいびきのある方は、横向きに寝ることで症状が改善する場合があります。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は自覚症状がないことも多い病気ですが、放置しておくと血管にダメージを与え心筋梗塞や脳梗塞などの心血管系の病気を発症しやすくなる。

  • いびきが大きいと家族に指摘された

  • よく寝ても日中に居眠りするほど眠い

という症状がある方は、一度専門の医療機関に相談してみることをおすすめします。
健康的な生活を続けていくために、睡眠時無呼吸症候群はしっかりと診断を受け、治療をすることが大切です。

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