地域分野(訪問看護)での言語聴覚士の仕事とは? 最後までお口から食べるのを諦めない

訪問看護 言語聴覚士 ST介入 お口から食べることを諦めない 言語聴覚士の仕事とは 食事の摂取 高次脳機能障害 摂食障害 失語症 嚥下障害 先天性の障害 後天性の障害

こんにちは。三重県松阪市にある「メディケア・リハビリ訪問看護ステーション松阪」の言語聴覚士 Aです。
訪問看護で言語聴覚(ST)ってどんなことをしてくれるの?とケアマネージーさんなどから、よくご質問いただきます。
そこで、訪問看護における言語聴覚士(ST)のリハビリの様子を、実際のST介入の一例を用いて分かりやすくお伝えします。

今回は、「最後までお口から食べることを諦めない」を目標に、病院で経口摂取が難しいと判断されたご利用者が、言語聴覚士のリハビリテーションによってお口から食事の摂取が可能となったケースをご紹介します。

言語聴覚士(ST)の仕事とは?

そもそも「言語聴覚士(ST)の仕事ってどんなの?」という方のために、改めて言語聴覚士がどのような職業なのかをご説明します。

言語聴覚士とは、言葉や食事の飲み込みの問題に対応する「話す」「聞く」「食べる」の専門家です。
対象は高次脳機能障害や失語症、摂食・嚥下障害など、先天性の障害から後天性の障害まで多岐に渡ります。
そのような方に対して、適切なリハビリテーションや助言を行うのが言語聴覚士の仕事です。

訪問看護 言語聴覚士 ST介入 お口から食べることを諦めない 言語聴覚士の仕事とは 食事の摂取 高次脳機能障害 摂食障害 失語症 嚥下障害 先天性の障害 後天性の障害


地域分野(訪問看護ステーション)での言語聴覚士の仕事とは?

言語聴覚士はさまざまな領域で働いており、医療施設はもちろん、介護・福祉・保健施設、地域、教育機関でも活動しています。
特に地域分野では近年、嚥下障害や誤嚥性肺炎の罹患率が高くなってきてきたことから、言語聴覚士の需要が増えてきています。
ご利用者の「これまで通りの食事がしたい」「少しでも口から食べたい」という希望を最大限に尊重し、経口での栄養摂取方法を看護師などの他職種も交えて日々検討しています。

地域分野での言語聴覚士と多職種連携

地域分野でも多職種連携は重要です。
たとえば、訪問看護で言語聴覚士に多い依頼は、嚥下障害のリハビリです。
中には、経口での食事摂取が困難と医師から判断された重篤な嚥下障害のご利用者もいます。
重篤な嚥下障害を呈している方は、嚥下障害のほかにも、関連する下記の症状に注意して生活しています。

  1. 誤嚥性肺炎
  2. 窒息
  3. 脱水
  4. 低栄養
  5. 食べる楽しみの喪失

誤嚥による窒息や肺炎などは、全身状態を整えた上で一人ひとりに合った食事内容や環境調整を行う必要があります。
しかし、それは言語聴覚士だけでできることではありません。
看護師や理学療法士、作業療法士なども含めて包括的な介入を行うことで、嚥下訓練のみを行うよりもずっと効果的なリハビリになります。

実際のケース:嚥下障害への包括的アプローチ

嚥下障害のご利用者のケース:介入前

ここからは、実際にメディケア・リハビリ訪問看護ステーション松阪を利用しているX様のケースについてお話します。
X様は入院がきっかけで嚥下機能が低下し、入院中に誤嚥性肺炎を繰り返し発症したことで経口摂取が困難となりました。
しかし、ご本人とご家族から「口から食べたい」という希望があり、メディケア・リハビリ訪問看護ステーション松阪より言語聴覚士が介入することになりました。

嚥下障害のご利用者のケース:介入開始

嚥下機能が低下していることから、まずは言語聴覚士による「飲み込み」に関する器官の運動やストレッチ、筋力トレーニングを行いました。
また、血圧低下が顕著だったので、全身状態の管理を看護師が行い、身体の筋力トレーニングを理学療法士が行うことになりました。
多職種で連携し、X様の希望である「口から食べたい」を包括的に支援しました。

嚥下障害のご利用者のケース:リハビリテーションの経過

「飲み込み」に関する器官のトレーニングを続けながら、次のステップである”とろみ”のついた水分をお口から食べる練習を始めました。
はじめての練習では、数口で「もうええわ」と飲み込むことにとても体力を使っておられるようでした。

しかし、それを数週間つづけたところ、50ml程度を摂取できるようになってきました。
介入1ヶ月を過ぎた頃には嚥下機能も改善が認められ、水分だけでなくゼリー類も食べられるようになってきました。
X様の気持ちも上向きになり、「おいしい」「味があると違うわ」と笑顔も増え、「早くプリンが食べたいなぁ」と次のステップへの意欲も出てきました。
このことで、食事だけでなく日常生活の口数も多くなり、ご家族との会話も増えてくるようになりました。

嚥下障害のご利用者のケース:現在

現在、介入から約2ヶ月が過ぎました。
X様はなんと、アイスクリームやプリンもご自身の手で食べられるようになっています。
退院直後は「口から食べたい」とは言いつつも、食欲はあまりない様子でしたが、今では「カツ丼が食べたいなぁ!」と食への意欲がどんどん向上しています。

訪問看護 言語聴覚士 ST介入 お口から食べることを諦めない 言語聴覚士の仕事とは 食事の摂取 高次脳機能障害 摂食障害 失語症 嚥下障害 先天性の障害 後天性の障害

まとめ

今回、X様へのリハビリテーション介入により、改めて「口から食べる」ということは、本能的な活動であり、日常生活の活気にも繋がるものだと感じました。
今後もX様の希望を叶えるべく、多職種で連携しながらサポートしていきます。
また、嚥下障害など「飲み込み」でお困りの方や、失語症などの「話す」ことについて、高次脳機能障害などによるコミュニケーション対してもお困りの方がいらっしゃれば、ぜひメディケア・リハビリ訪問看護ステーション松阪にご依頼ください!
ご希望を叶えられるよう、最大限サポートしていきます。


松阪市の訪問看護ならメディケア・リハビリ訪問看護ステーション松阪まで

「メディケア・リハビリ訪問看護ステーション松阪」
TEL 0598-30-5070
〒515-0075 三重県松阪市新町810-1

一覧へもどる