「潜在看護師」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
厚生労働省が発表したでデータによると、2014年に就業看護師数(実際に看護師として働いている数)は約154万人で過去最多となっています。(2012年末から7.0%増)。グラフにすると右肩上がりで増え続けており、今後も増えて行く見込みです。
しかし、増え続ける看護師の影では、潜在看護師も年々増加しているといわれています。
今後1人でも多くの医療職の活躍が期待される中、なぜ資格を持ちながらも働けない潜在看護師が増えているのでしょうか。
「潜在看護師」とは?
潜在看護師とは、65歳以下で資格を持っているにも関わらず、現職の看護師として臨床の現場で働いていない方のことを指します。
増える潜在看護師
2012年の時点では、潜在看護師の数は71万人とされています。これは看護師資格保有者のおよそ3分の1がアクティブではなく資格を保有しているだけの状態であるということを示しています。
看護職員の現状と推移 - 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000072895.pdf)
これだけの数字になると、個々の問題を超えて、もはや社会問題となりつつあるのが現状です。
なぜ潜在看護師が多い?
最近では男性看護師も急増(ここ10年で10倍近く増えていそうです!)していますが、少し前は女性の方が圧倒的でした。
女性は生涯におけるキャリアデザインにおいて、結婚、出産・育児が人生のライフイベントとして大きな比重を占めます。旧来の男性優位の職業社会構造では、女性が結婚し、子育て・育児に専念する期間、自分が思い描いた仕事(キャリア)を歩む事は簡単ではありません。
看護師の場合も出産・育児等で一度臨床の現場を離れてしまうと、復職が困難であるとされています。
看護師の離職理由としての「結婚、出産・育児」
看護師の離職理由でも、職場の環境に関する問題以外の、個人の状況に関する理由のうち「結婚・妊娠・出産」が多くの割合を占めているといわれています。
医療介護の知識・スキル、技術は日進月歩で変わっていきます。現場を離れていた看護師が臨床の現場に復職するときの不安は相当なものでしょう。
医療介護サービスの多様化、さらなる量・質の向上が求められる高齢化社会の到来により、看護師の労働市場における需要は今後も十分にありますが、看護師は、
- 数年〜数十年のブランクがあるから、医療職であるがゆえの大きな責任感や緊張感に耐えられない
- 医療の進歩に付いていけるか心配
- 手技の感覚が鈍っていそうで怖い
などの声に出せない不安を抱え、臨床の現場になかなか復帰しにくい現実があります。
社会的にも最近ようやく潜在看護師が問題視され始め、看護師の離職を防ぐ目的で保育施設を設けたり、復職支援のための研修を充実させる病院も増えてきています。国レベルでは都道府県のナースセンターで潜在看護師の復職支援を行うようにもなってきました。
しかし、まだまだ十分ではなく、看護師の離職防止策や復職支援を積極的に行っていく必要があります。
潜在看護師の問題は社会課題
看護師の結婚・出産・育児による離職と潜在看護師の問題は、個人の問題だけではなく、社会的課題を含んだ大きな問題であるといえます。
少し視点を変えると、潜在看護師の問題にアプローチして行くことで、
- 労働人口減少対策(女性の社会進出による労働力の創出)
- 医療介護の人的資源の充実によるサービスの量・質の向上
- 少子化問題(女性が子供を産み、育てやすい社会へ)
日本の大きな3つの社会課題にアプローチしていくことができるのです。
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