医療・介護職にとって、在宅での看取りに必要なものとは? 第14回全体勉強会「在宅看取りの心積もり~医師の立場から~」

弊社では毎年、訪問看護スタッフの専門的知識をより深めるのため「全体勉強会」という勉強会を開催しています。

セミナー 勉強会 看取り

今年で14回目となる今回の全体勉強会では、医療法人ふじた医院の理事長であり、京都府の下京西部医師会 副会長でもある、医師の藤田祝子先生に講師を務めていただき「在宅看取りの心積もり」をテーマにお話しいただきました。

藤田祝子さんの写真 看取り 医師 下京西部医師会
医療法人ふじた医院の理事長・下京西部医師会 副会長 藤田祝子先生

現在、弊社の一部の事業所で24時間対応体制を敷いており、在宅での穏やかな看取りの難しさと重要性をひしひしと感じています。
今後も24時間対応体制を拡充していく上で、大切な項目のひとつとして常に学んでいくことが必要だと思います。

在宅での看取りの現状 

近年、国の政策によって在宅での終末期ケア・看取りが推し進められています。
厚生労働省のアンケートによると、国民の約63%が自宅で最期を迎えたいと希望しています。
しかし、2015年の調査では自宅で最期を迎えた方が約13%、病院で最期を迎えた方が約75%と、現実との乖離があることが分かります。
また、この「自宅で最期を迎えた方」の中には、看取り以外にも「自宅での事故死」や「自死」なども含まれており、実際に「看取り」を希望された方が本当に自宅で最期を迎えられた数となると更に少なくなります。
(看取り 参考資料-厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000156003.pdf

在宅での看取りの現場と必要なこと

ご本人が在宅での最期を希望されていても、家族が看取りに耐えられず救急車を呼ぶケースや、かかりつけ医がいなかったため自宅で孤独死され、警察が介入するケースもあります。
では、ご本人が希望したご自宅で穏やかに最期を迎えるために、在宅に関わる医療・介護職はどのようなことができるでしょうか。

  • 病状の変化に慌てないよう、医療職が家族に十分な説明を行う
  • 基幹病院だけでなく、近隣のかかりつけ医にも定期的な診察を受けてもらうよう勧める
  • 孤独死を避けるため、地域ケア会議を有効に活用し、公助・共助に役立てる
  • 呼吸困難などに対する適切な処置をとれるスキルを身につける

これらを行うためには、「病院だけが頑張る」「訪問看護だけが頑張る」では不可能です。
ご利用者に関わる全ての医療・介護職がひとつのチームとして連携する必要があります。
藤田先生が副会長を務めておられる下京西部医師会では、「京あんしんネット」という医療介護専用のSNSを使用して、離れた場所にいるチームメンバーとリアルタイムにご利用者の情報を共有しているそうです。
これにより、切れ目のない在宅医療と介護の提供が可能となり、ご利用者の希望に添った看取りの環境を整えることができます。

NBM(Narrative Based Medicine)

これまでの医療従事者はEBM(Evidence Based Medicine)という根拠に基づいた医療を優先してきました。
しかしこらからの医療、特に看取りの現場ではNBM(Narrative Based Medicine)という考え方も重要で、EBMとNBM両方をバランスよく捉えることが大切であると学びました。

NBMとは、「患者が語る“物語”(=その人の人生や価値観など)から、医療従事者は病気だけではなく、患者個人の背景や人間関係を理解し、患者の抱える問題を全人的(身体的、精神・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする考え」をいいます。
その人のそれまでの人生(物語=ナラティブ)を知り、これからどのような物語を紡いでいきたいのか、という“病状以外”の部分も見ていく考え方です。
看取りに関わる医療・介護職は、ご利用者の「物語」の登場人物の一人です。医療・介護スキルを提供するだけでなく、目の前にいるご利用者の”これまで”の物語”と”これからの物語”を紡ぎながら、看取りに向き合っていかなければなりません。
ご利用者本人とご家族も含めたひとつのチームとして、希望に添った最期を迎えられるよう包括的にサポートしていきたいと思います

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