在宅での脳卒中のリハビリ

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厚生労働省発表の「平成26年 患者調査の概況」によると、脳卒中による脳血管疾患の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は117万9,000人で、たくさんの方が脳卒中を発症されています。

当社の訪問看護ステーションにおいても、多くの脳卒中の方に在宅でのリハビリテーションを行っています。

今回は、脳卒中の方の在宅でのリハビリテーション方法について、その概要をご紹介します。

在宅でのリハビリの特徴

脳卒中の方への在宅でのリハビリ方法をご紹介する前に、訪問看護で行うリハビリの特徴について述べておきます。

在宅でのリハビリは、病院やリハビリ施設で行われるリハビリとは大きく異なる点があります。

それは、病院に入院中は比較的リハビリだけに集中することができる環境ですが、在宅においては普段の生活を継続させながら、それに加えて身体の機能回復に向けてのリハビリに取り組む必要があることです。

脳卒中の症状には、

  • 運動麻痺(片麻痺)
  • 感覚障害
  • 高次脳機能障害

など多数の特徴的な症状があります。

もちろん程度の差によりますが、脳卒中の後遺症により日常生活で行うことが困難な生活動作が出現してしまう可能性があります。

まず、日常生活を安全安心に過ごすためのリハビリを行い、同時に、運動麻痺やその他の症状を改善するためのリハビリを行っていきます。

例えば、片麻痺により、以前のように歩いて買い物に行くことが難しくなってしまった場合、歩行能力改善のためのリハビリを行い、以前のように歩いて買い物に行けるようになるのが理想です。
しかし、身体の変化には時間を要するため、ある程度の期間が必要になります。

優先順位として、まず、日常生活で困っていることを誰か他の人(ヘルパーさんなど)に依頼したり、電動車椅子などの福祉用具を使い、現在の身体の状態でも買い物に行ける環境を整備します。

ヘルパーさんに日常生活のことを依頼することや福祉用具を使うことに対して、「足腰が弱る」または「身体の機能の回復を諦める」ように感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、日常生活を安心安全に過ごすための手段を確保した上で、加えて身体の機能回復や運動麻痺に対するリハビリを行っていくことが在宅のリハビリでは大切になってきます。

また、病院では基本的に医師が常駐しているため、急変時の対応がすぐに可能な場合が多いです。

しかし、在宅では比較して急変時の対応に時間を要します。
よって、可能な限り安全を重視したリハビリの内容になります。転倒の危険性がある状態で無理して歩く練習をするのではなく、歩行器や杖を使い、まずは安全に歩ける状態を獲得することを目指します。

前提として、在宅では病院とは少し違った方向性でリハビリが進められることになる場合が多い、ということです。

脳卒中のリハビリ

それでは、実際に具体的な脳卒中の方の在宅でのリハビリの方法についてご紹介します。

脳卒中の方の後遺症に対して、体調を維持するために継続的にリハビリを行う必要があるケースもあります。

歩行練習

必要な身体や足の筋肉を鍛えたり、歩行補助具(杖や歩行器)の導入を検討します。
一概に”足に麻痺がある”といっても、運動麻痺の出現する部位には個別性があります。
その方によって特徴的な歩き方や転倒に繋がるような症状が出現するため、対応した歩き方のアドバイスを行います。

また、高次脳機能障害を併発されている方は、身体の運動機能の問題だけではなく、歩行中の視野や認識の問題が含まれる場合もあります。

歩行中にどのようなことに注意すれば安全に街中を移動できるのか、具体的に提案し、必要であれば一緒に練習していきます。

関節可動域訓練

日常生活で体を動かす機会が少なくなると、各関節が固く動かしにくくなる症状が出現します(※これを「拘縮(こうしゅく)」と言います)

また、脳卒中の症状として「痙縮(けいしゅく)」と呼ばれる独特の筋肉のこわばりが出現することも多いです。
関節可動域訓練を行うことで、筋肉と関節を柔らかくし、痛みが出ることを防いだり、動きやすい体を維持し、活動量が低下しないように身体の状態を維持します。

日常生活動作の練習

入浴の時に転倒しそうになり恐怖感がある場合、転倒しにくい環境設定を行ったり、入浴動作の練習をしたりします。
また、トイレでの下衣の操作や、ご家族に介助方法のアドバイスなども行います。

座る、立ち上がる、しゃがむ、寝た状態から起き上がる、歩くなど、日常生活で無意識に行っている基本的な動作には実はコツがあり、コツを意識することで安全で楽に動作しやすくなります。

環境調整

安全安心に生活するため、手すりの設置や住宅改修も視野に入れて福祉用具の導入を検討したり、各市町村のサービスやケアマネージャーなどと連携して、他の介護サービスなどの導入も含めて環境調整を行います。
在宅でのリハビリにおいて環境調整はとても重要な要素です。環境を現在の身体の状態に合わせて調整していくことで、生活が楽になるケースはたくさんあります。

まとめ

在宅での脳卒中の方へのリハビリは、環境調整を基本とし、身体の機能回復に向けて継続的にリハビリを行なっていく必要があります。
焦らず、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士と一緒に二人三脚で少しづつ進んでいきましょう。

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