昨年10月に開催予定だった「がんばらないリハビリ介護~転倒予防編~」が台風で中止になって早4ヶ月。ようやく開催することができました!
転倒予防をテーマに、転倒の要因、転倒しないための3つの「つくり」について松本 健史先生(合同会社松本リハビリ研究所 所長 / 理学療法士 / 社会福祉学修士)に教えていただきました。
転倒の要因
転倒には大きく2つの要因があります。
- 内的要因
- 外的要因
1.内的要因
転びそうになったとき、体の傾きを止めるための一歩(ステップ反応)が出ないようなことを内的要因と言います。
2.外的要因
周囲の声や物音に注意が逸れ、足元がおろそかになってしまうようなことを外的要因と言います。
そのほかにも、パーキンソン病や脳梗塞などの中枢疾患、変形性関節症などの整形疾患が転倒の要因になったり、睡眠薬や降圧剤、筋弛緩剤など、薬剤が要因となって転倒しやすくなったりすることもあります。(※医師に処方された薬は必要なものです。必ず指示通りに服用してください)
このように“転倒”とひとくちに言っても、様々な要因が考えられます。
転倒予防のための3つの「つくり」
転倒予防には3つの「つくり」が必要です。
1.体づくり
研修会では骨の標本を使って簡単な解剖学から学んでいきました。
肩甲骨がどう動くのかを受講生同士で確認したり、生活の中で最低限必要な腕の動きを維持する体操を体験したり、実技を交えながら楽しく基礎から学びました。
2.環境づくり
環境のチェックポイント!
- 椅子の高さが合っているか
- 食事や排せつしやすい姿勢を取れるか
一人ひとりの高さに合わせることができる個別昇降テーブルや、移乗や排せつの姿勢を取りやすくするファンレストテーブルなど、環境づくりに最適な福祉用具をご紹介いただきました。
3.介助づくり
スムーズな立ち上がりには3つの条件があります。
- 本人の高さに適したイス
- 足を引く空間
- 前かがみの姿勢
これら3つの条件を崩してしまうと、被介助者はスムーズに立ち上がることができません。
たとえば、立ち上がる足元に物が置いてあったり、介助者が立っているために前かがみの姿勢になれなかったり。
動作分析から改めて考えることで、自分たちの介助方法を見直すことができました。
歩行動作も同じく、歩行の際の被介護者の重心の移動を考えることで介助者も被介助者も無理なく歩行することができます。
また、指だけで介助してしまうフィンガー介助ではなく、手のひらでしっかりと支えるパーム介助がなぜ大切なのか、そのポイントも実技を通して教えていただきました。
まとめ
生活するということは「頑張らずに」過ごすということです。
そのために生活する中で簡単に楽しくできる体操や、少しの工夫でできる環境調整、無理なくできる介助がとても重要になってきます。
「生活する」とは何か。改めて考える研修会になりました。