脳卒中片麻痺によくある、筋肉のつっぱり「痙縮」とは?

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「平成26年 病院および診療所を利用する患者調査の概況(厚生労働省)」によると、脳血管疾患の総患者数は117万9,000人にのぼるとされています。

脳卒中後遺症には様々な症状がありますが、その中でも今回は比較的頻繁にみられる筋肉の異常「痙縮(けいしゅく)」についてご紹介します。

つっぱり=痙縮(けいしゅく)とは?

脳卒中患者によくみられる筋肉のつっぱりは「痙縮(けいしゅく)」と呼ばれます。
痙縮とは、関節を動かした時に起こる筋肉の抵抗が高まった状態のことです。
脳卒中を含む中枢系の疾患(脳や脊髄の疾患)で筋肉の緊張が亢進している(高くなっている)方に多く出現します。

そもそも、本来、全身の筋肉は緩みすぎず張り詰めすぎず、適度な緊張状態を保つ機能があります。
脳卒中によりその機能に障害を受けると、常に筋肉が過剰に収縮した状態(=緊張した状態)になってしまうことがあります。これが「痙縮」と呼ばれる状態です。

「痙縮」にはある程度パターンがあり、その中でも

  • 屈曲パターン:腕や指などの上半身が曲がった状態で伸ばしにくくなる
  • 伸展パターン:足が伸びた状態で、特に足先が下にピンと張った状態になる

の2パターンがよく見られます。

なぜ起きるの?(原因)

「痙縮」は錐体路(すいたいろ)障害によって出現します。
「錐体路」とは、運動を支配する神経の主要経路のことです。この部位を障害することで筋肉の緊張に影響が出ます。

精神的緊張

意外にも、「痙縮」は精神的な緊張でも強く出現します。

元々、人前で何かを発表する時に緊張すると肩が凝ったりするように、筋肉の緊張と精神的な状態には関連があります。
痙縮がある方も同じで、お風呂など「滑りやすくて怖い」と感じるような状況では筋肉の緊張が高まり、さらに強く痙直の症状が出現します。
また、普段の外出でも転倒しやすい身体状態にある方の場合、歩いたことのない道や車・人の往来が多い道路では精神的な緊張に伴って痙直症状が強くなり、歩きにくくなることがあります。

運動後

運動中は筋肉が普段よりも収縮するので、運動をしたあとにも筋肉の緊張が高い状態が続きやすくなります。

健康のために適度に運動をして筋肉量を維持したり、関節をしっかりと動かし、身体中の血液を循環させることは非常に重要です。
しかし、痙縮がある方は運動後に筋肉の緊張が過剰に高まり、痛みが出たりする場合もあります。
運動後にストレッチを行うなど、筋肉の過剰な緊張を緩和させることもセットで行うことにより、より健康を維持しやすくなります。

改善するためには?

筋肉の緊張が高まり、痙縮が強い時にはストレッチをしたり、入浴で筋肉を温めたりすることで筋肉の過剰な緊張が緩和されます。
痙縮の状態が長く続くと、筋肉だけでなく関節も固まってしまう「拘縮(こうしゅく)」原因の1つにもなるので、適度に筋肉をほぐす必要があります。

まとめ

今回は脳卒中片麻痺の方によくある症状である「痙縮」についてお伝えしました。
「痙縮」は放置していると痛みが出たり、関節拘縮の原因になったりすることがあります。
こまめにストレッチなどを行い、ケアしてあげることが大切です。

参考)「平成26年 病院および診療所を利用する患者調査の概況(厚生労働省)」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/

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