「在宅医療」という言葉にあなたはどんなイメージを持っていますか?
がん患者さんが終末期に自宅で療養すること、と思っている方も多いかもしれません。
もちろん、在宅医療を利用しているがん患者さんも多くいます。しかし、在宅医療はがん患者さんだけでなく、脳卒中や関節疾患、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病の方、高齢になって体が弱くなった方など様々な人たちが利用しています。
在宅医療とは
在宅医療とは、言葉の通り患者さんがご自宅で医療ケアやリハビリテーションを受けることを言います。
特に障害や体の衰えなどで通院が困難な方が、病院に行かずとも適切な処置や介護を受けられることが患者さんにとってメリットとなっています。
しかし、現代の在宅医療はそれだけではありません。患者さんが住み慣れたご自宅で過ごせることの安心感や快適さ、家族や友人との交流、趣味の継続など、個人の価値観や生活を大切にしながら治療を行うことができることも「在宅医療」の重要な役割のひとつです。
在宅医療における家族の生活
はじめての在宅医療をすることになったご家族は
- 今まで介護したことがないから不安…
- 介護って大変そうだし、時間もなくなって疲れてしまいそう…
- もし急変したらどうすればいいの?
など、心配事がいろいろと浮かんでくるかと思います。
自分たちの生活に深く関わってくることなので、当然のことですよね。
おそらく、この「心配事」は「どうすればいいか分からない」から来る不安だと思います。
まずは「在宅医療」で受けられるサービス・サポートを知ることから始めてみましょう。
在宅医療で受けられるサービス・サポート
退院前カンファレンス
退院後の在宅生活において、病院の医師・看護師、患者ご本人やご家族と、かかりつけ医や訪問看護、ケアマネジャー・ソーシャルワーカーなど地域の様々な関係機関が一緒に話し合う機を設けます。
退院後のサービス内容や入院時の情報を在宅サービスに引き継ぐことによって、より安心・安全な在宅生活を支援します。
訪問診療
医師が患者さんのところに訪問して治療を行うサービスのことです。
基本的には月2回定期訪問するところが多いです。
クリニックによっては、24時間365日、患者さんの状態が急変した場合に駆けつける「往診」を行っているところもあります。
訪問看護・リハビリ
看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが医療・介護・リハビリの面から日常生活をサポートします。
- 病状の観察
- 薬の管理
- 入浴・食事の介助
- 排泄介助
- 人工呼吸器の管理
- リハビリテーション
- 言語訓練
- 嚥下訓練
など、在宅生活を幅広くサポートしています。
こちらもステーションによって、24時間365日、緊急時に看護師が駆け付ける「24時間対応体制」を取っているところも多くあります。
また、希望される場合は看取りもサポートしています。
介護ヘルパー(ホームヘルパー)
自宅で暮らす要介護者の日常生活をサポートする介護サービスです。ご本人の生活援助はもちろん、ご家族の介護負担を軽減するためのサービスでもあります。
なお、介護ヘルパーは「家事代行」に似た部分があるため、家政婦さんやお手伝いさんと混同されることもありますが、全く異なるサービスですのでご注意ください。
身体介護
排泄、食事、着替え、入浴など身体に直接触れて行う介助やサポートを行います。
生活援助
掃除、洗濯、調理、買い物などの家事援助や薬の受け取り代行など、身の回りのサポートを行います。
通院援助
ヘルパーが自ら車などを運転し、ご利用者を病院へ送迎して受診のお手伝いをします。
ショートステイ
ショートステイは患者さんご本人が1人暮らしで話し相手がいない時や、ヘルパーが来ない日の家事負担の軽減のほか、介護者が体調を崩した時やリフレッシュしたい時、旅行に出かけたり冠婚葬祭で家を留守にしたりする場合も利用できます。
基本的には1泊2日での利用が多いですが、最長30日間連続で使用することも可能です。(※利用には条件があります)
ショートステイは介護保険だけでなく、介護認定を受けていなくても利用できる施設もあるので、ご本人やご家族の状況にあった施設を選ぶことができます。
在宅医療をはじめる前に確認すべき大切なこと
在宅医療は、ご本人はもちろんご家族の協力があってこそ成り立つものです。
ご本人、ご家族がどちらも無理をせずに在宅生活を送れることが「在宅医療」には欠かせません。
もし不安なことや疑問があれば、身近な医療機関やケアマネジャー、ソーシャルワーカー、お近くの訪問看護ステーションなどにお気軽にご相談ください。