口の中を綺麗にすることで、口腔内の機能を維持する口腔ケア。
在宅医療や介護の現場でも一般的に行われています。
今回は、そんな「口腔ケア」を行う意味や方法についてご紹介します。
口腔ケアはなんのために行う?(目的)
口のあらゆる働きを健康的に維持するために行います。
食物を摂取する口腔は、食べ物のカスや細菌類が繁殖しやすい環境にあります。
私たちが毎日行う歯磨きのように、口腔内は継続的なケアが必要です。
口腔ケアの目的を理解するために、まずは口腔の働きを知っておく必要があります。
口腔の働き
- 摂食(せっしょく)…私たちが生きるために重要な、食物を摂取する機能があります。
- 咀嚼(そしゃく)…口腔内に入った食物を歯で粉砕し、飲み込みやすい形にします。
- 審美性(しんびせい)…口は表情にも大きく関係しています。
- 唾液の分泌
どれも重要ですが、口腔の機能として特に「唾液を分泌する」機能が重要です。
唾液は物を食べやすくするだけでなく、口を通して外部から侵入する細菌などから体を守る免疫機能としての役割もあります。
唾液に含まれる酵素(アミラーゼ)が、食べ物中のでんぷんを分解し、胃で消化されやすい状態にします。
また、口の中を綺麗に洗い流し、虫歯になりにくくする機能もあります。
口腔ケアが十分にできないとどうなる?
- 虫歯
- 歯槽膿漏
- 歯肉炎
- 口臭
- 味覚の低下
- 誤嚥性肺炎発症リスクの増大
など様々な口腔内のトラブルに繋がります。
上記のトラブルによって食べ物を飲み込む機能(摂食嚥下機能)が低下すると、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
口腔機能チェックテスト
簡単に口腔機能をチェックする項目があるのでご紹介します。
- 半年前に比べて硬いものが食べにくくなっていませんか?
- お茶や汁物等でむせることがありますか?
- 口の渇きが気になりますか?
3項目中2項目以上に当てはまる方は口腔機能等の経過に注意が必要で、介護予防サービスの対象者となる可能性があります。
口腔機能訓練にはどんなものがあるの?
- 筋力アップの体操
飲み込みに関する口や喉周りの筋肉を鍛えることで、嚥下機能や発声機能を維持します。
方法としては、たとえば「おでこ体操」があります。
①額に手のひらを当てながらおへそを覗き込みます。
②おへそを覗き込みながら喉に力を入れます。
③元の姿勢に戻ります。
- 発声訓練
声を出すことで発声機能の維持を図ります。
「パタカラ体操」が有名ですね。
- 舌の体操
舌は発声と嚥下両方に関係しているので、体操を行いスムーズに動くようにしておきます。
- 唾液腺マッサージ
口腔機能の維持に重要な唾液の分泌を促す効果があります。
- 息こらえ嚥下
息をこらえながら嚥下(飲み込み)の練習をすることで誤嚥を防ぐ練習になります。
- シャキア訓練
仰向けに寝て、おヘソを覗き込むように頭を持ちあげる練習です。嚥下筋群を強化し、誤嚥を防ぐ効果があります。
やり方は、
頭を上げておへそを見ながら30秒程度維持し、元の姿勢に戻ります。
これを5~6回繰り返すのを1セットとし、1日3セット程度おこないます。
なお、上記はあくまでも目安の回数です。無理をしない程度に回数や姿勢維持の秒数を調整しながらおこないましょう!
まとめ
誤嚥性肺年の死亡者数は、厚生労働省の発表によると2018年時点で3万8,462人にもなるそうです。
清潔で健康な口腔環境を維持することは、肺炎予防にもつながります。
ぜひ参考にしてください。
参考)http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1477975526354/simple/tyekkurisutomanyuaru.pdf