長期間、寝たきりになると発生しやすい床ずれ(褥瘡:じょくそう)。
床ずれはどんな原因で発生し、どうすれば予防することができるのでしょうか。
床ずれができやすい方
特に高齢者に多いとされています。
高齢者は、
- 糖尿病
- 高血圧
- 心疾患
- 腎機能障害
など、複数の疾患を持っていることが多いため、床ずれが発生しやすいとされています。
また、後述しますが、栄養状態も床ずれの発生に大きく関係します。
- 下痢
- 脱水
- 浮腫
- 誤嚥性肺炎
など、栄養状態を妨げる要因を複数併せ持つと床ずれが発生しやすくなります。
特に病後すぐ(急性期)、または長時間臥床状態にある方(終末期)に多いとされています。
床ずれ発生の4つの原因
床ずれが発生しやすい原因は主に4つあります。
①圧迫
自力で寝返りが難しい方や、関節に拘縮があったり痩せて骨が突出していたりする方は、特定の部位の圧迫が強くなる可能性が高く、床ずれの原因になりやすいとされています。
また、シーツや服のシワがあると物理的にその部位に圧が掛かり続けることになります。そのため長時間同じ姿勢でいると血流が悪化し、床ずれができやすくなります。
②摩擦
ベッドから車いす、車いすからベッドなどへ移乗する際に体を引きずると、その摩擦によって床ずれができやすくなります。
また、車いすに座っているときにずり落ちてしまうとおしりや背中に摩擦が生じ、床ずれができやくなります。
③不潔、蒸れ
汗や尿、便などで皮膚が蒸れて不衛生になると、"かぶれ"や"ただれ"が発生し、床ずれができやすくなります。
④栄養不足
栄養不足になると抵抗力や治癒力が低下し、全身状態の悪化に繋がります。これにより身体の組織が弱くなり、床ずれができやすくなります。
床ずれリスクのチェックポイント
床ずれリスクをチェックポイント形式で挙げておきます。(OHスケールという評価方法を参考にしています。)
これらの点を確認し、当てはまる項目が多い方は特に床ずれに注意が必要です。
①自力体位変換能力
自分で寝返りができますか?
車椅子に座っている時も、自力で座り直すことができますか?
②病的骨突出(仙骨部)
おしりの真ん中の骨(仙骨)が突出していますか?
③浮腫
顔、手足に浮腫(むくみ)があるりますか?
④関節拘縮
関節拘縮(関節が硬くなっている)がありますか?
床ずれの予防策
床ずれは治療が長引くことが多いため、予防することが最も重要です。上述の床ずれの4つの原因に対する予防方法をお伝えします。
①圧迫
基本はこまめに体位変換を行うことです。加えて寝台に褥瘡予防マットレスを使用し、圧を軽減させます。
骨突出部位がある方は、そこに圧が掛かり続けないように枕やクッションを使って姿勢を調節します。これをポジショニングと言います。
また、座っているときは「90度ルール」と呼ばれるものを意識して姿勢を調整します。
股関節、膝関節、足関節屈曲90度にしておくと圧が局所にかかりにくくなります。
※これらは自分で姿勢を変えられる方には基本的に必要ありません。
②摩擦
体位変換時に皮膚がこすれないように注意します。
電動ベッドのギャッジアップをした際には背中をいったんベッドから離し、背抜きを行います。
③不潔に対する対策
おむつをされている方は、汚染時にできるだけすみやかにおむつを交換することで床ずれのリスクを減らすことができます。
また、おむつ交換時に陰部洗浄をして乾いた布でこすらずに拭き、その後、保湿のためにワセリンを塗ると良いとされています。
④栄養不足に対する対策
食事の摂取量が低下している場合は、高カロリーのゼリーなどを摂取することで栄養状態を維持しやすくなります。
まとめ
床ずれの原因となる因子は主に4つあります。
- 圧迫
- 摩擦
- 不潔、むれ
- 栄養不足
です。
床ずれは単純に皮膚の圧迫を避けることは当然として、栄養状態や服のシワ、おむつ交換の頻度や栄養状態によっても発生しやすさが変わってきます。
総合的に環境を確認して、できるだけ床ずれを発生させず、予防することが重要とされています。