ハートケアグループ メディケア・リハビリ研修会「みんなで支える小児在宅ホスピスケア」を開催しました。
医療法人財団はるたか会「子ども在宅クリニックあおぞら診療所墨田」所長 戸谷剛先生に講師を務めていただき、当日は医師、看護師、療法士など多くの専門職の方に受講いただきました。
日本の現状
日本は世界でも有数の新生児救命率を誇っています。
小児の死亡率はここ20年で半数にまで減少し、多くの命が救われています。
しかしその反面、重複障害や医療依存、発達障害のお子さまが増えてきています。
医療的ケア児の現状
10年前までは「医療が必要」という理由で学校などに通えず、孤立するお子さまが多くいました。
しかし、近年では保育所・幼稚園、学校などにも看護師が在籍し、医療的ケアが必要なお子さまも安心して学校や放課後等デイサービスなどに通えるようになってきました。
特に、自身の足で歩けて話せるものの、気管切開、人工呼吸器、胃ろう、経管栄養、中心静脈カテーテル、尿道カテーテル留置などの高度な医療ケアが必要なお子さま(高度医療依存児者)は、自身で抜去してしまったり、思わぬところに引っかかって抜管してしまったりと、場合によっては応急処置が必要なときがあります。
このような時、すぐに看護師が駆け付けられる環境はお子さまだけでなく、保護者の方や学校の先生にとっても安心できる環境となってきています。
在宅医療の存在と担うべき役割
在宅では人工呼吸器から栄養の管理まで、担うべきことが多岐に渡ります。
その中で訪問看護やヘルパーなど、在宅支援者が黒衣としてご家族を支え、見守ることは在宅医療の大切な役割のひとつです。
たとえば、呼吸が苦手お子さまには、呼吸リハで「どの筋肉を動かせば呼吸がしやすいのか?」「どんな姿勢だと呼吸がしやすいのか?」など、ご家族にはもちろん、お子さま本人にも教えてあげることでお家での生活が楽になります。
これも在宅医療が担うべき役割のひとつですね。
看護ケア・緩和的リハビリテーションの重要性
お子さまの「気持ちいい!」「楽しい!」を育み、ウキウキ、ドキドキを引き出して挑戦することへの楽しさを構築することが在宅生活の中でも特に重要です。
たとえば、
- 看護師・・・全身のマッサージや入浴でリラックスしてもらう。
- 理学療法士・・・体のつらい部分を楽にしながら、身体を使う遊びで「楽しい!」を引き出す。
- 作業療法士・・・みんなの個性を引き出して色々な挑戦を応援する。
- 言語聴覚士・・・摂食を早期に取り入れ、味覚を育んで希求行動を刺激する。
「いのち」はコミュニティーが支えるもの
コミュニティー(家族と社会資源)がケアする力を育てて困難を乗り越え、成長する力を育むことがお子さまを育てる土台になります。
病院というコミュニティーから家(地域)というコミュニティーに帰ってから、
- ケアできる人がいる
- ケアできる物がある
- ケアできる社会がある
- ケアできる新しいストーリー(希望)がある
そのことが、お子さまの「いのち」と家族そのものを育てていくのです。
次回のハートケアグループ メディケア・リハビリ研修会は「より良く暮らすためのお薬との付き合い方」です。
私たちが支援している方々にとって、お薬は身近な存在です。
しかし、支援者の私たちに正しいお薬の知識はあるのでしょうか?
「訪問薬剤師って何ができるの?」
「睡眠薬は転倒しやすいの?」
「便秘の薬って何を飲めば良いの?」
「食事の時に気をつけることはあるの?」
「多剤処方(ポリファーマシー)って何?」
この機会に「生活」を密接に関係あるお薬の知識を学び直してみませんか?
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