昨今は健康に対する意識が高くなり、日常的に運動する方が増えています。
しかし、実は運動が逆効果になる場合があることをご存知でしょうか?
栄養が足りない状態で運動やリハビリを行うと、かえって身体機能の低下を招くことがあります。
運動と栄養
リハビリでは早期離床の重要性が盛んに訴えられています。
しかし、リハビリや運動は栄養状態に配慮して行うことが大切です。
当然ですが、「栄養」は病気を改善するためにも、筋肉をつけるためにも欠かせないものです。
しかし、栄養失調の人が運動したらどうなるでしょうか?
実際に低栄養の状態でリハビリを行った例があります。
結果はご想像の通り、廃用症候群や脳卒中、大腿骨頸部骨折でリハビリを行った方の予後が悪化してしまいました。
運動は大切ですが、栄養状態に注意しないと逆に状態が悪くなってしまう可能性があるのです。
栄養の種類│5大栄養素と腸の関係
人が生きていくために必要な栄養素は約40種類あるといわれています。
これらを大きく5つに分けたのが、「5大栄養素」です。
5大栄養素とは、
- タンパク質
- 脂質
- 糖質
- ビタミン
- ミネラル
です。
しかし、どんなにバランスよく栄養を摂っても、それを腸がしっかり吸収できなければ意味がありません。
つまり、栄養状態の改善には栄養を摂ることに加えて、腸内環境の改善も欠かせません。
腸内環境の改善には、食物繊維や乳酸菌を積極的に摂取し、腸内細菌である善玉菌を増やす必要があります。
また、自律神経を整えることもとても大切です。
腸の働きには自律神経が大きな影響を与えているからです。
腸と脳の密接な関係│自律神経
腸は脳や脊髄からの指示なく、自立して動いています。
あなたも「腸は第二の脳」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
腸の神経細胞は人体の組織の中でも脳に次いで多く、約一億個存在します。
この神経細胞によって腸は自立して働くことができます。
腸は消化・吸収・排泄と、生物が生きていくために最も重要な働きを担っています。生物の発生過程を見ても、腸と脳は同じ神経から作られています。
精神的な不調から便秘や下痢、胃腸の痛みとして現れる事はよく知られていますね。
また、腸と脳の連絡に使われているのが「自律神経」です。
自律神経が乱れると体全体の調子が悪くなり、便秘や下痢が起こりやすくなります。
自律神経を乱れさせる原因には、
- 過度なストレス
- 不規則な生活
- 疲労
があります。
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
このうち胃腸の働きを活発にするのが副交感神経で、働きを抑制するのが交感神経です。
副交感神経はリラックスした状態の時に活発になるので、普段の生活で睡眠時間をきちんと確保したり、リラックスしたりする時間を作ることが重要になります。
腸と精神状態、セロトニン
腸の働きは人の精神状態にも大きく関係しています。
人はセロトニンという神経伝達物質によって精神的な落ち着きを感じるといわれています。
このセロトニンは90%以上が腸で作られています。
なぜ脳の神経伝達物質が腸で作られているのでしょうか?
実はセロトニンはもともと腸内の神経伝達物質で、それがのちに脳でも使われるようになったという説があります。
腸と脳で情報を共有することで、セロトニンが不足すると腸の状態が悪いことを脳で認識できるようにしているのかもしれません。
セロトニンはうつ病を防いだり心の安定に欠かせないホルモンです。
セロトニンが不足し、抑うつ状態になると引きこもりがちになりますが、これは体を守るための反応だという説もあります。
セロトニンの原料はタンパク質なので、
- 肉
- 魚
- 卵
などの摂取が大切です。
それだけではなく、セロトニンを作り出すためにはタンパク質を必須アミノ酸に変えなくてはなりません。そのためにはビタミンが必要になります。
人は体内でビタミンを合成することができないので、ビタミンも摂取しなければならないことになります。
また、腸内細菌はビタミンを生成する働きがあるため、腸内細菌の働きも重要になります。
まとめ
運動をする際は、栄養状態に注意する必要があります。
栄養には、5大栄養素があり、
- タンパク質
- 脂質
- 糖質
- ビタミン
- ミネラル
をバランス良く摂取することが大切です。
また、栄養を効率よく体内に吸収するために腸の状態も整えておく必要があります。
腸ではセロトニンという神経伝達物質が作られ、精神状態にも大きく関係しているといわれています。
セロトニンの分泌のためには、
- 肉
- 魚
- 卵
を摂取する必要があります。また、ストレスにも注意します。
栄養状態を考慮することで、運動をより良いものにすることができます。ぜひ参考にしてみて下さい。