「両親と連絡を取る機会が少なく、様子がわからない」など、離れて暮らすご両親の介護のことを心配される方は多いです。
将来待ち受けるかもしれない介護の不安を最小限にするには、ご両親の現状を把握しておくことが大切です。
遠距離介護には、最低限知っておくべきことがいくつかあります。
以下の3つの事柄について知っていれば、急に入院したときや介護が必要になったとき、遠距離でも比較的スムーズに対処することができます。
1.健康状態と主治医
介護が必要になるきっかけは、ほとんどの場合が健康状態の悪化によります。普段の健康状態を知っていれば、 疾病の有無や種類によっては
「いつ頃介護が必要になるか?」
「今後どんなことが起こりそうか?」
という見通しも立てやすくなります。
また、様子が変わった際に早期に対応できる可能性が高くなります。
普段どこのお医者さん(主治医)にかかっているかも一緒に聞いておきましょう。
かかりつけ医の先生はこれからもお世話になる心強い味方です。
質問例
質問者:「なにかお薬飲んでるの?どこの病院にかかっているの?」回答者:「近所の△△医院で、血圧の薬をもらって飲んでるよ。糖尿病で◯◯医療センターに毎月通ってるよ。」
2.経済状況(年金、預金・保険)
あまり知られていませんが、入院費や介護の費用は各々の収入やその他の経済状況によって変わります。経済状況は介護の方向性を左右することもある重要な項目です。
年金額や経済状況がわかれば、介護が必要になったときに金銭面での計画が立てやすくなります。
年金や貯金が充分であれば、選択肢も多くなります。
不安がある場合は、経済的な支援策の活用について情報収集するなど、あらかじめ準備をしておくことができます。
質問例
質問者:「年金はいくらもらってるの?老後のために貯金はしてる?」回答者:「年金は2ヶ月で30万くらいかな。貯金はあまりないけど、保険はかけてるよ。」
3.人との交流状況(親類・友人・近所)
普段どんな人と付き合い、どんな活動をしているのかを知っておくことはとても大切です。人と交流が多い方の場合は、親戚や友人、ご近所さんなど、交流のある方々が将来介護を手伝ってくれる強力なチームメンバーになってもらえる可能性もあります。
質問例
質問者:「兄弟や親戚との交流はある?友だちと会ったり、出かけたりはしてる?近所の人との行き来はある?井戸端会議とかあるの?」回答者:「姉とは足が弱って歩けないから最近は会ってないね。電話はするけどね。行事が無くなってご近所さんとも会わなくなったわ。お隣の◯◯さんが畑でとれた野菜を持ってきてくれるよ。」
以上の3つの質問で、今の相手方の最低限の状況をおおまかに把握することができます。
遠距離でご両親になかなか会えないときは、3つの質問を定期的に
離れて暮らすご両親との交流が少なく、状況がよくわからないと不安に感じている方は、定期的にこの3つの質問をすることで環境や健康面の変化を捉えやすくなります。帰省して直接話ができない場合でも、毎年の誕生日にでも電話で3つの質問をしてみることをおすすめします。
去年と今年の答えに違いがあれば、それが状況の変化です。
例えば、
- 飲んでいるお薬が増えた
- 膝が痛くて長く歩くのが辛い
季節性の感染症の流行などにより、ご近所の交流の様子が変わったり、友人が亡くなったりといった外部の変化もあるかもしれません。
心身の変化は、自分や周りの状況の変化に大きく影響を受けます。離れていても、こうした見守りの方法で両親と関わることができます。
経過を追って観察していることになるので、介護が必要になるタイミングが図りやすくなります。
少しの情報があるだけで介護する側の安心感は変わってくるものです。
地域の相談窓口を知ろう
市町村には「地域包括支援センター」があります。地域の介護の相談窓口です。ご両親が住んでいる地域においては、「◯◯市 地域包括支援センター」と検索すれば出てきます。
複数ある場合は、一番近い住所のところか、担当地区を確認して選びます。
いざというとき、どこに相談すればいいのかをあらかじめ知っておくだけで安心です。
遠方で来所して直接相談ができない場合は、電話での相談も可能です。
地域ごとに設置されている機関なので、その地域の特性に詳しく、複数の専門職が在籍しており、幅広い内容の相談に対応してもらうことができます。
まとめ
離れて暮らす両親の介護がはじまる前の不安を最小限にするために知っておくべきこととして、定期的に「3つの質問」で経過をみていくことをご紹介しました。いざというとき、離れた両親の介護をスムーズにはじめるために準備をしておきましょう。