糖尿病患者数は生活習慣や社会環境の変化に伴い、急速に増加しています。
末期では失明したり、透析治療が必要となったりすることもあります。
また、患者のQOLを著しく低下させるのみではなく、医療経済的にも大きな負担を社会に強いており、今後も社会の高齢化に従って増加するものと考えられています。
厚生労働省の平成14年度糖尿病実態調査では「糖尿病が強く疑われる人」は約740万人、
「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせると約1620万人、
患者数は増加傾向と推測されています。
近年糖尿病患者は急速に増えており、私たちに身近な病気の一つになっています。
そこで今回は、糖尿病についてご紹介します。
糖尿病とは
糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。
血糖値が高いままだと血管が傷つき、将来的に心臓病や失明、腎不全、足の切断といったより重い病気につながる可能性があります。
まずは、糖尿病の種類について確認しましょう。
糖尿病にはI型とⅡ型があります。
Ⅰ型糖尿病
膵臓から分泌されるインスリンがほとんど分泌されなくなり、血糖値が高くなります。インスリンが不足しているため、インスリンの注射を打つ必要があります。
若年層でもなる可能性あります。原因は詳しくはわかっておらず、自己免疫によるものと考えられています。
Ⅱ型糖尿病
インスリンが分泌しにくくなったり、インスリンが効きにくくなったりすることで血糖値が高くなります。原因としては、運動不足や肥満など環境的な要因が原因とされています。
中高年の年代に多いです。
糖尿病を予防するための方法
予防に大切なことは- 食事
- 運動
- 睡眠
それぞれ説明していきます。
食事
インスリンの分泌量は欧米人と比較すると、アジア人の方が少ない傾向にあります。そのため、欧米化した食事――例えば、ファストフードや嗜好品(バター、クリーム、アルコールなど)を取りすぎると糖分の処理が追いつかなくなり、血糖値が上がったままになってしまいます。
この状態が休むことなく続いてしまうと、インスリンを分泌する力が衰えてしまいます。
そこで目安となるのが摂取カロリー(エネルギー)です。
- 70歳以上の女性:1400Kcal~2000Kcal
- 70歳以上の男性:2000Kcal~2400Kcal
食べすぎや、インスリンをより多く必要とするメニューに気をつけた食事を取ることが大切です。
ただ、気を付けて欲しいのは、糖尿病に「良い食品」「悪い食品」というものはありません。
どんな食品でも適量であれば体に良いです。
逆に、どんな食品でも取りすぎ、食べ過ぎには注意が必要です。
運動
運動がなぜ良いのかというと、Ⅱ型糖尿病の主な原因は、- 肥満
- 過食
- 運動不足
運動によりエネルギーを消費して、肥満を解消 ・抑制します。
さらに運動を毎日続けていると筋肉の活動量が上がり、インスリンの働きも改善します。
さらに食後1時間頃に運動をすると、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促されて血糖値が下がるという効果もあります。
また、運動の効果はそれだけではありません。
ほかにも、
- エネルギーの摂取と消費のバランスが改善し、減量効果 ・肥満の防止
- 高血圧や脂質異常症(高脂血症)の改善
- 加齢や運動不足による筋肉の衰えや萎縮、さらには骨粗鬆症の予防
- 心臓や肺の機能向上
- 筋力や体力の増強
- 爽快感、活動気分が向上し、ストレス解消効果
良いことばかりので、無理のない範囲でやっていきましょう!
糖尿病におすすめの運動の種類
運動は大切だというのは理解していただいたと思いますが、「運動って具体的にどんなことをやればいいの?」と思いませんか?そこで、簡単にできる運動を紹介していきます。
まず、運動は大きく分けて2つの種類があります。
▼レジスタンス運動
レジスタンス運動は、重いものを持ったり、トレーニングマシンを使って運動したりと、筋肉に負荷をかける運動です。
▼有酸素運動
有酸素運動は、全身を使って運動することで、ウォーキングやジョギング、水泳、散歩、自転車などです。糖尿病を患っている方は、有酸素運動を行うと良いと言われています。
運動の時間
運動の時間に関しては様々な文献がありますが、20分~40分、週に3日間行うのが良いと言われています。継続できて無理のない範囲で行なっていきましょう。
睡眠
睡眠と糖尿病に関係があることはご存知でしょうか?寝つきが悪い、十分な睡眠時間がなかなか確保できないといった方は多いと思います。
睡眠不足が続くと思考力低下や体力、集中力が低下するとよく言われていますが、他にも睡眠不足が続くことで空腹時血糖値が上昇し、インスリン分泌する機能が低下してしまうという調査結果があります。
つまり、睡眠不足を続けていると糖尿病になりやすいということになります。
また、睡眠不足は食欲を高め、肥満の原因にもなり、動脈硬化、心臓病や脳卒中を発症する危険性が高まります。
▼適切な睡眠時間
韓国の大学の研究チームの報告によると、睡眠時間が6時間未満の人は、Ⅱ型糖尿病のリスクが上昇すると報告されています。また、10時間以上の睡眠を取る、睡眠過多の人もリスクが上昇します。
糖尿病のリスクに限らず、集中力や思考力の低下にも繋がるので、睡眠時間も意識しましょう。
しかし、なかなか寝れない方もいるかと思います。そこで、睡眠のポイントをお伝えします。
▼よく眠るために
- 起きた時に朝日を浴びる
- ウォーキングをする
- 寝る前にリラックスする時間をつくる(寝る前にテレビや携帯などをみない)
- 夜更かしをしない
- 寝る前にアルコールを飲まない
- カフェインに注意する
- 寝る環境をつくる(部屋をうす暗くする、室温を寝やすい温度に設定する)
まとめ
どこでもおいしい食べ物が食べられる時代ですが、だからこそ気を付けるべき部分もあります。食事や運動、睡眠を見直して、糖尿病を予防していきましょう。
そして、健康的な生活が送れるようにしていきましょう。