2019年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、病院に通院している人の疾患で最も多いのは「高血圧」です。
高血圧は自覚症状がほとんどありませんが、
- 心疾患
- 脳血管障害
- 腎疾患
そのため、日頃からご自身の血圧を測定し、把握しておく必要があります。
自宅で正しく血圧を測り、病気の早期発見につなげていきましょう。
なぜ自宅で血圧を測るの?
血圧は測定する環境により数値が異なります。一般的に病院で測る血圧(診察室血圧)は、自宅で測る血圧(家庭血圧)よりも収縮期、拡張期ともに5㎜hg程度高くなるといわれています。
これは診察室での精神的な緊張が大きく関係しているといわれており、自宅で測定した血圧の方がリラックスできていることが多いため、通常の数値ではないかといわれています。
また、自宅の方が同じ時間、同じ条件で計測しやすいため、より正確な数値が出やすいです。
そのため日本高血圧学会では、高血圧の診断や服薬の評価には家庭血圧を用いるよう定められています。
降圧の目標は?
降圧目標値は年齢や合併症により違うため、次の表を参照してください。
年代・疾患素 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
---|---|---|
若年者・中年 | 130/85㎜hg未満 | 125/80㎜hg未満 |
高齢者 | 140/90㎜hg未満 | 135/85㎜hg未満 |
糖尿病患者、腎臓病患者、心筋梗塞後患 | 130/80㎜hg未満 | 125/75㎜hg未満 |
脳血管障害患者 | 140/90㎜hg未満 | 135/85㎜hg未満 |
自宅での正しい血圧測定方法
日本高血圧学会のガイドラインで推奨されている事について記していきます。
血圧計の種類の選択
家庭用の自動血圧計は家電量販店で購入できます。種類としては、
- 手首に巻くもの
- 指に巻くもの
- 上腕に巻くもの
また、4~5年で製品寿命がくると言われています。古い血圧計は点検が必要です。
測定する際の姿勢と注意点
姿勢により、血圧の値は変わります。血圧を測定するときの姿勢にも注意が必要です。- 背もたれのある椅子に座り、両足を床につける。
- カフの高さが心臓の位置にくるよう、腕をテーブルの上に置く。
- カフは肘の2㎝上くらいに巻き、できるだけ服の上から巻かない。
- 会話はせずリラックスする。
- 座ってから1~2分後に測定する。
測定する環境と時間
血圧測定は環境や測る時間を一定にすることが大切です。- 測定は静かで適度な温度の部屋で行う
- 朝と夜に各2回ずつ
・夜の測定…就寝前(入浴後と飲酒後は低くなる可能性があります)
左右の腕で測定した血圧の差
図る腕で数値に左右差がある場合は高い数値を採用するといいでしょう。しかし、10㎜hg以上差がある場合は「抹消動脈疾患」の疑いがあるため、主治医に相談してください。
「仮面高血圧」について
上記に診察室血圧について記しましたが、診察室の血圧が正常で家庭の血圧が高くなる場合もあります。このような血圧を「仮面高血圧」といいます。
「仮面高血圧」には「早朝高血圧」や「夜間高血圧」などがあります。
一般に血圧は睡眠中に低下し、起床後に緩やかに上昇するという変動を示します。
しかし「夜間高血圧」は睡眠中も血圧が低下せず、早朝まで高血圧が続きます。
特に「夜間高血圧」は動脈硬化、脳血管障害、心筋梗塞などの発症リスクを高めるため治療が必要です。
「夜間高血圧」を発見する24時間血圧測定
「夜間高血圧」を発見するためには、睡眠中も血圧を測定し、24時間の血圧変動を把握する必要があります。この時使用する24時間測定できる血圧計を「携帯型自動血圧計(ABPM)」といいます。
ABPMは24時間装着したままで普段どおりに仕事や家事をこなすことができます。
そして、設定した時間間隔ごとに自動で血圧を測定できるようになっています。
ABPMについては病院で医師に相談してみてください。
まとめ
高血圧は心疾患、脳血管障がい、腎疾患などの命にかかわる病気につながりやすいです。しかし、高血圧は自覚症状がないため、日頃から自分の血圧を測定しておく必要があります。
病院に行けば血圧測定はしますが、環境の違いや緊張により、日頃の血圧の値と違いが出ます。
そのため、自宅で決まった時間に毎日血圧を測定していくことが大切です。
また、血圧は日内変動します。
「夜間高血圧」というものがあり、就寝中も含め、24時間血圧を測定をすることが時には必要になることもあります。
よって、血圧は病院で測定してもらうだけでなく、1日を通した変動を長期的に知っておく必要があります。
適切な治療を受けるためにも家庭での血圧測定は重要です。
改めて見直してみると、血圧測定にはたくさんの注意点がありました。
少し細かく感じるかもしれませんが、毎日続けることで自然と身についていくと思います。
家庭で正しい血圧測定を行い、病気を未然に防ぎましょう!
参考)日本血圧学会ガイドライン https://www.jpnsh.jp/guideline.html