あなたは「腰痛」を経験したことはありますか?
腰痛は厚生労働省の国民生活基礎調査で、訴えの多い症状として常に上位にあがっています。
なかでも厄介なのは急激に強い痛みが襲ってくる「ぎっくり腰」ではないでしょうか?
急な激痛で体が動かせなくなるのは本当に困ります。
急に痛みが出ると、更に痛みが悪化する恐怖心から安静にしておきたくなりますが、実は過度な安静を取ると逆に回復が遅くなる例もあります。
ぎっくり腰になった時の対処法
以下に、時期ごとの対処法をご紹介します。
発症直後
楽な姿勢をとり、腰部を刺激しないように安静にします。「腰が楽になるといわれている姿勢」は以下の通りです。
- 膝を軽く曲げて横向きに寝る(枕をだいたり、膝にクッションを挟んでもよい)
- 仰向けに寝て、軽く膝を曲げ、膝下にクッションを入れる。
発症から2〜3日後
無理のない範囲で動いていきます。徐々に痛みが和らいでいくことが多いとされています。とはいえ、まだ痛みがあると思います。
しかし、過度な安静を続けると腰の筋肉が硬くなり、血流も悪くなります。
早めに動いた方が回復が早いとされています。
立って動くのがまだつらい場合は、四つ這いなどで少し動くことをおすすめします。
※痛みで全く動けない場合や、足にしびれが出ている場合は無理に動かず、病院を受診してください。
発症から1週間以降
多くの場合、痛みのピークは過ぎ、普段通りの生活が送れるようになります。
ぎっくり腰が起きる原因
日常生活でぎっくり腰が起きやすい場面として、- 重い荷物を持ち上げようとした
- 中腰の姿勢をとっていた
- 急に振り向いた
ぎっくり腰が起きる要因
日常生活でぎっくり腰が起きやすい要因は、- 前かがみの姿勢
- 急に腰を捻ったり、曲げる、伸ばすなどの動作を行った場合
つまり、過度に、急激に腰に負担がかかった時に起こります。
ではこの時、体で一体何が起こっているのでしょうか?
ぎっくり腰で痛みが出る原因
- 強い衝撃により椎間板の靭帯が損傷し、神経を刺激する
- 背中の筋肉の痙攣(けいれん)が起きている
しかし、ぎっくり腰の痛みの発生機序は諸説あり、はっきりとした原因が分かっていません。
ただ、「ぎっくり腰」になると、腰の周囲の筋肉が組織を防御するために収縮して硬くなり、関節を固めてしまいます。
また、硬くなった筋肉が血管を圧迫して血流も悪くなります。
この筋肉の異常収縮を改善するためには、痛みのない範囲で、徐々に体を動かしていく方が改善傾向に向かいやすいとされています。
そのため、あまりにも過度の安静は筋肉の緊張を強め、血流も改善しにくくなります。
もちろん、腰に負担がかかる動きには注意が必要ですが、安静は最小限にとどめ、早期にできる範囲で通常生活に戻していくことが大切になります。
ところで、ぎっくり腰は時間の経過とともによくなるといわれていますが、注意すべき腰痛の状態もあります。
ぎっくり腰だと思っても、中には重篤な背骨の疾患や内臓の病気が隠れている可能性もあります。
以下の項目をチェックしてみましょう。
ぎっくり腰ではない可能性。注意すべき腰痛の兆候
- 20歳未満か55歳以上
- 外傷歴がある(転倒など)
- 楽な姿勢がない、寝ていても痛い
- 胸にも痛みがある
- がんの既往がある
- 長期ステロイド治療を受けている
- 免疫抑制剤を使用している
- 全身的な体調不良
- 原因不明の体重減少
- 背中を叩くと痛みが強い
- 発熱
- しびれや麻痺がある
ぎっくり腰の再発予防
ぎっくり腰を経験したら、その後1年以内に再発することが多いといわれています。では、どんなことに気を付けたら予防できるのでしょうか。
- 腰をひねる、曲げる、長時間中腰を取るなど、無理な姿勢をとらない
- ストレスをためない
- 筋力を付ける
- 適度な運動をする
ぎっくり腰の予防はいつから始めるべき?
では、ぎっくり腰予防の運動はいつごろから始めるといいのでしょうか?日本整形外科学会および日本腰痛学会による腰痛診療ガイドラインを参照すると、急性腰痛に運動療法はあまり効果がないようです。
ただし、腰痛を発症してから4週間くらい経ち、症状が落ち着いたころには体操やストレッチを行うのは再発予防として効果があるとされています。
運動不足のままでいると、むしろ慢性腰痛に移行する可能性もあります。
再発や慢性化を予防するためには腰を支える筋力を強化し、靭帯を柔軟に保っておくことが理想です。
ぎっくり腰予防におすすめの運動
- ウォーキング
- 水中ウォーキング
- 全身の柔軟性を保つためのストレッチ
- 体幹(背筋と腹筋)の筋力トレーニング
まとめ
ぎっくり腰になってしまったら、初めは安静にし、少しづつ体を動かしていく必要があります。- 無理のない範囲で動く
- 基本的に3日以上の安静は必要ない(痛みが強い場合は除く)
- 注意すべき腰痛の兆候が当てはまったら、すぐに医療機関を受診する
- 再発予防のための運動は発症してから4週目以降がおすすめ
ぎっくり腰になってしまったら辛い痛みを長引かせないよう、適切に対処するようにしましょう。
そして、再発しないよう予防にも心掛けましょう。