食生活は生命を維持し、人が健康で幸せな生活を送るために欠くことはできないものです。
しかし、食生活を取り巻く社会環境の変化に伴い、
- 朝食欠食率の増加
- 加工食品や特定食品の過度な依存
- 過度のダイエット志向
- 食卓を中心とした家族の団らんの喪失
人々の健康で良好な食生活の実現のためには、個人の行動変容とともに、それを支援する環境づくりを含めた総合的な取り組みが求められています。
また、食事の内容は体の機能にさまざまな影響を与えます。
食事で大切なのは、全ての栄養素をバランスよく摂取することです。
そのために栄養素について知ることは、ひいては健康を保つことにも繋がります。
栄養素とは
食品に含まれている栄養素の分類には、「三色食品群」「五大栄養素」などがあります。
三色食品群とは
- 黄:エネルギーになるもの
- 赤:からだをつくるもの
- 緑:体の調子を整えるもの
黄:エネルギーになるもの
主に、- 糖質(炭水化物)
- 脂質
臓器を動かすなど、生命を維持するためにはエネルギーが必要です。
そのエネルギー源となってくれるのが糖質(炭水化物)と脂質です。
糖質や脂質の摂取量が足りないと、たんぱく質が分解されてエネルギー源となります。
赤:からだを作るもの
- たんぱく質…筋肉や爪、髪などを作る
- ミネラル…骨や歯を作る
- 脂質…細胞膜などを作る
緑:からだの調子を整えるもの
- ビタミン
- ミネラル
体温を調節したり、神経の働きに関わるなど、身体の状態を一定に保つために大切な栄養素です。
ビタミンの一部を除き、体内では作ることができないので、食事から摂り入れなければいけません。
バランスの良い食事とは、これら「三つの色(要素)を必要量 摂取できる食事」を意味します。
五大栄養素とは
五大栄養素とは、- 炭水化物
- 脂質
- たんぱく質
- ビタミン
- ミネラル
炭水化物(糖質)
炭水化物はエネルギーになる栄養素の中で最も重要です。日本人の一般的な食事では、摂取エネルギーのおよそ60%を糖質で得ています。
炭水化物は米、小麦などの穀物のほか、いも類、とうもろこしなどにも含まれています。
糖質はエネルギーとして使われるほか、脂質の代謝にも関与しています。
余った糖質は、グリコーゲンや中性脂肪に変えて体内に貯蔵されます。
脂質
脂質は少量でも高カロリーになる効率の良いエネルギー源です。貯蔵脂肪としてエネルギーの貯蔵にも役立っています。
また、脂質には細胞膜を構成したり身体の機能や生理作用を一定に保ったりする、食品の脂質部分に含まれる「脂溶性ビタミン」の供給源にもなります。
たんぱく質
たんぱく質は多数のアミノ酸が繋がったものです。生体のたんぱく質は20種のアミノ酸からできています。
そのアミノ酸の中でも、人間のからだに必要でありながら体内で作ることができないものを「必須アミノ酸」といいます。
たんぱく質は体に摂り入れられたあと、アミノ酸に分解され、筋肉、皮膚、毛髪、爪、臓器、神経などの細胞組織の成分や、酵素、ホルモン、免疫物質、筋収縮や輸送に関与する物質など、それぞれの働きに必要なたんぱく質へ合成し直されます。
ミネラル
栄養素として不可欠な16種類を「必須ミネラル」といいます。骨や歯、筋肉や血液などの成分となるほか、さまざまな生理作用に関わってきます。
ミネラルは体内で作ることができないため、食べ物からしか摂ることができません。
下記に、16種類のミネラルを挙げます。
- ナトリウム
- 塩素
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
- イオウ
- 鉄
- 亜鉛
- 銅
- マンガン
- コバルト
- クロム
- ヨウ素
- モリブデン
- セレン
ビタミン
ビタミンは、糖質、脂質、たんぱく質の代謝を助けるとともに、生命を維持するための生理作用に不可欠な栄養です。ビタミンには「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」の2種類があります。
「脂溶性ビタミン」は脂質と一緒に体内に貯蔵することができます。
「水溶性ビタミン」は体内に貯蔵できる日数が脂溶性ビタミンより少ないため、不足しないように小まめに摂取する必要があります。
下記は「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」の種類と主な食品です。
ビタミンの種類 | 主な食材 | |
---|---|---|
水溶性ビタミン | ・ビタミンB1 ・ビタミンB2 ・ビタミンB6 ・ビタミンB12 ・ビタミンC |
豚肉、大豆、玄米 卵、牛乳、レバー バナナ、カツオ、レバー しじみ、肉類、チーズ レモン、キウイ、いちご、ピーマン など |
脂溶性ビタミン | ・ビタミンA ・ビタミンD ・ビタミンE ・ビタミンK |
レバー、うなぎ 魚介類、きのこ類 かぼちゃ、アボカド 納豆、ほうれん草 など |
食事のバランス
食べ物から得られる栄養素には、からだを健康に保つためのさまざまな働きがあります。それぞれの栄養素が複雑に関わることで身体の状態が健康に保たれているので、食事の内容に偏りが無いようにすることが大切です。
栄養バランスの良い献立のつくり方とは
全ネルギーを100%とした場合、理想的なバランスとされるのは、- 糖質(炭水化物):50〜65%
- 脂質:20〜30%
- たんぱく質:13〜20%
近年、減塩に配慮した日本型の食生活が理想的な献立として見直されています。
主食をご飯に、主菜、副菜がバランス良い食事となっています。
食べるときのポイント
食べるときのポイントは、次のようなものです。意識して行いましょう。- 朝食、昼食、夕食の3食を規則正しく
- 薄味に慣れる
- よく噛んで食べる
- 食べ過ぎにならないように「腹8分目」を心がける
外食でのポイント
現代人の生活では外食を全く利用しない食生活は考えにくくなっています。外食での問題点は「脂質」「糖質」「塩分」の摂取が多くなり、「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」が少なくなることです。
しかし、外食でも少しの工夫でバランスを良くすることができます。
単品のメニューではなく主食、主菜、副菜のそろった定食スタイルのメニューを選ぶようにしましょう。
また、ファストフードなどはエネルギーに対して脂質の多いメニューが多いので、あまり習慣化しないように気をつけましょう。
まとめ
以上のように「食べる」ということは私たちが生きていく中で欠かせないものです。食事はさまざな身体の機能を保つために、重要な栄養素を摂取するためにとても重要です。
また、家族との団らんや、人と人とのコミュニケーションとしても社会的に重要な役割を果たしています。
健康的で充実した毎日を送るために、栄養バランスが取れた食生活を心がけましょう。
参考)「国立循環器病研究センター 栄養に関する基礎知識」