- 朝、目が覚めても頭がぼーっとする
- 午後の仕事が眠たくて集中できない
- 寝つきが悪い
1876年、エジソンが白熱電球を開発しました。
そこから人類は「明るい夜」を手に入れ、活動時間が大幅に伸びました。
しかし、電球の発明によって夜になっても明るい光を浴びるようになり、体内時計に狂いが生じるようになりました。
体内時計が狂うと、
- 夜なかなか眠たくならない
- 朝の目覚めがスッキリしない
- 昼間も頭がぼーっとする
そこで今回は、光と睡眠の関係性と、光と上手に付き合うコツをお伝えします。
今回の内容を実践することで、
- 朝の目覚めがスッキリする
- 部屋の照明の考え方がわかる
- 夜の寝つきが良くなり、熟睡できる
結論としては、
- 朝と昼は日光をしっかりと浴びる
- 夜はなるべく光を避ける
それでは、詳しく解説していきます。
光が睡眠に与える影響
人は誰でも明るい場所では熟睡できませんし、暗い場所では頭が冴えません。光は人の睡眠と覚醒に大きく関係しているからです。
では、どのようなメカニズムで光が睡眠に影響しているのでしょうか?
日光などの強い光が体内時計をリセットする
地球上の生物はすべて、約24時間周期の体内時計を持っています。個人差はありますが、平均24時間15分の長さで1日のリズムを刻んでいるそうです。
この”だいたい”24時間周期の体内時計を、”ぴったり”24時間周期に修正する鍵となるのが、日光などの強い光です。
眼球から入った光が脳の視交叉上核と呼ばれる部位に届くことで、体内時計をリセットします。
つまり、日光や強い光を浴びることで体内時計がリセットされ、1日のリズムが修正されるということです。
逆にリセットするタイミングがずれていくと、睡眠や覚醒のタイミングもずれていきます。
夜に寝付けないのも朝の目覚めが悪いのも、体内時計のズレが影響している可能性がありま す。
光はメラトニンの分泌に影響する
眠気を誘発する主な睡眠物質として「アデノシン」と「メラトニン」があります。「アデノシン」は起床してから就寝するまで増え続ける睡眠物質で、光の影響は受けません。
しかし、メラトニンは「日中のセロトニンの分泌量」や「夜の光の照度」によって分泌量が変わりま す。
セロトニンとメラトニンの関係
セロトニンとは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、感情を落ち着かせるホルモンです。この「セロトニン」は睡眠物質である「メラトニン」の原料でもあり、日中に強い光を浴びることで分泌が促されます。
つまり、日中に光を浴びて「セロトニン」が大量に分泌されると、睡眠時の「メラトニン」も増えるということです。
照度(ルクス)によってメラトニンの分泌量が変わる
日中に分泌されたセロトニンは、起床後14〜16時間経つとメラトニンに変わります。朝6時に起床した場合は20〜22時に分泌され、その時間帯に眠気がやってくるということです。
しかし、500ルクス以上の光を浴びると夜になってもメラトニンの分泌が抑制されます。
500ルクス以上の照明を使っている家庭は、気づかない間に睡眠の質を落としているかもしれません。
まとめると、睡眠物質であるメラトニンは、
- 日中にしっかりと光を浴びて、セロトニンを増やす
- 夜は500ルクス以上の光を浴びない
熟睡するための光との関わり方
光は体内時計の調整やメラトニンの分泌に関与し、夜の睡眠に大きく影響することは理解でき たかと思います。ここからは、熟睡するために光とどう付き合えばいいのか?
3つのコツをお伝えします。
1.朝、目が覚めたら日光を浴びる
朝起きたら、真っ先にカーテンを開けましょう。日光を浴びることで体内時計がリセットされ、自然と目が覚めてきます。
ただし、起床後4時間以内に光を浴びないと体内時計はリセットできません。
直接日光を浴びなくても、窓際に座るだけで約5000ルクスの強い光を浴びることができます。
そのため、朝一番は窓際で過ごしましょう。
2.日中もなるべく日光を浴びる
日中もなるべく明るい環境で活動できるとベストです。強い光を浴びることで、メラトニンの原料であるセロトニンが分泌されます。
日中に蓄えたメラトニンが多いほど夜に分泌されるメラトニンが増え、寝付きも良くなって深い睡眠がとれるようになります。
日中は仕事をされている方も多いかと思いますが、熟睡したい方は昼休憩に外食や散歩をするなどしてセロトニンを蓄えてください。
それだけできっと睡眠の質は大きく変わりますよ。
3.夜はとにかく強い光を避ける
一般的な住宅の照明は100〜1000ルクスと言われており、照明を意識して選んでいない人は基本的に明るい照明を使う傾向にあります。上述しましたが、睡眠物質であるメラトニンは500ルクス以上になると分泌が抑制さ れます。
自宅の照明が明るすぎるとメラトニンの分泌が抑制され、寝付きが悪くなったり、睡眠の質が下がる原因になります。
最近では、明るさや光の色を変えられる電球も市販されているので、夜はオレンジ色の暗い照明に設定するとメラトニンがしっかりと分泌されます。
また、間接照明も明るさを調整する時におすすめです。
パソコン・スマホは睡眠の敵
パソコンやスマホから「ブルーライト」が出ていることは広く認知されています。ブルーライトは太陽の光に似ているため、脳が日中であると勘違いしてメラトニンの分泌が抑制されます。
また、光ではありませんが、スマホには脳を興奮させるアプリが多く入っているので、それらをついつい見てしまうことで寝つきが悪くなる原因になります。
ぐっすり眠りたいなら、寝る1時間前にはスマホやパソコンは触らないようにしましょう。
まとめ
日中をどう過ごすかで睡眠の質が大きく左右されます。日中は日光などの強い光を浴び、夜はなるべく強い光を避けることで熟睡できる確率が上がります。
これを機に日光や照明との付き合い方を見直すきっかけにしてみてください。
参考書籍)
『睡眠こそ最強の解決策である』著者:マシュー・ウォーカー
『スタンフォード式最高の睡眠』著者:西野 精治
『SLEEP』著者:ショーン・スティーブンソン
『睡眠の科学』著者:櫻井 武
『あなたの睡眠を変える睡眠の法則』著者:菅原 洋平