厚生労働省が発表する2015年(平成25年)の国民会議報告書「医療・介護分野」の中で、「病院完結型」の医療・介護から「地域完結型」の医療・介護への転換が示されており、訪問リハビリ分野で働く医療・介護従事者は増加傾向にあります。
訪問リハビリの分野では、医療施設や介護施設とは一味違った「利用者さんの生活に密着したリハビリ」が提供できることが大きな魅力です。
この記事では、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の訪問看護ステーションでのお仕事の魅力や将来性、仕事内容についてお伝えします。
訪問リハビリ分野に興味を持っている方の参考になれば幸いです。
訪問リハビリとは?
訪問リハビリテーションは、医療施設や介護老人保健施設に併設する事業所から提供されるものと、訪問看護ステーションからの看護サービスの一部として提供されるものに分けられます。制度上の位置付けや手続きなどに違いはありますが、実際に利用者が受けるリハビリ内容にはほとんど違いがなく、どちらも「訪問リハビリ」と表現されることが多いです。訪問リハビリで働く理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)は、基本的に単独で訪問先に出向きリハビリを行うため、リスク管理や緊急時の対応などを心配するかと思います。
そのため、病院や施設で経験を積んでから訪問リハビリ分野へ転職するケースが多いです。
しかし、中にはもちろん早い段階で訪問看護ステーションに転職する療法士もいます。
メディケア・リハビリでも実際、新卒や病院経験1年程度で就職している療法士がいます。
メディケア・リハビリは教育体制に力を入れており、新人研修や先輩療法士との同行訪問などサポート体制に自信があります。
訪問リハビリの指示書・計画書について
訪問リハビリに限らず、リハビリテーションは必ず医師の指示のもとおこないます。訪問看護ステーションの場合も同じで、主治医が発行する「訪問看護指示書」が必要になります。
医師からの指示書を受け取ったリハビリ職は、指示書の内容を基に利用者の既往歴や心身機能の状態、これからおこなうリハビリの目標や実施内容などを記した計画書(リハビリテーション実施計画書または訪問看護計画書)を作成し、医師に提出します。
訪問看護ステーションの場合、リハビリ職は看護師と連携して計画書・報告書を作成する必要があります。
訪問リハビリの魅力(メリット)
療法士の転職先として、訪問リハビリのメリットは主に以下のようなものになります。- 自宅でリハビリを行うことで、日常生活に直結する機能回復・維持に繋がりやすい
- リハビリ職が直接利用者の生活環境を見ることで、的確な機能訓練やアドバイスができる
- 寝たきりなどで通所リハビリの利用が難しい方でも、移動の負担やリスクなく実施できる
- 1対1でのきめ細やかな支援ができる
- リハビリや介助の仕方について家族からの相談に応じることができ、介護者の支援が行いやすい
また、居宅介護支援計画書を作成するケアマネージャーや福祉用具相談員、地域包括支援センターや市町村など、外部関係者との調整・連携も重要なため、そういった部分でも外部と接触し、より広い医療・介護分野の様々な世界を知ることができることも大きな魅力です。
在宅では、介護保険と医療保険、障害福祉サービスを利用する利用者と関わるため、それぞれの保険制度、各種サービスを実践を通して学ぶことができます。
理学療法士(PT)の基本的な仕事内容とスケジュール
例として、訪問リハビリにおける理学療法士(PT)の仕事内容についてお伝えします。基本的には単独で事業所を出発し、車やバイク、自転車を利用してご利用者の自宅へ訪問します。
ご利用者の自宅で行う業務としては、
- バイタルチェック(血圧、脈拍、血中酸素飽和度SPO2、体温測定)
- 各種機能評価
- 運動療法
- 関節可動域練習
- 日常生活動作練習(歩行、食事、排泄、着替え、座位保持など)
- 環境整備のサポート(住宅改修のアドバイスや福祉用具の提案)
- 家族への介護指導(必要なサービスの提案を含む介護方法のアドバイス)
訪問看護での訪問リハビリテーションのサービス提供時間は介護保険の場合、1単位20分で計算されます。
1件あたりのサービス提供時間は介護度に関わらず、基本的に40分間〜60分程度ですが、多くの場合は40分です。
1日の平均的な訪問件数は5~6件、多い場合は7~8件回っているケースもあります。
リハビリ実施後は、タブレットで電子カルテにサービス提供時間や実施したリハビリの内容、バイタルなどの各種訪問情報を入力します。
事業所に一度帰る時間がない場合は、そのまま次のご利用者宅に向かいます。
訪問先以外での業務内容も様々で、
- 医療施設での退院前カンファレンスへの参加
- サービス担当者会議
- 地域ケア会議への出席
また、訪問看護計画書や報告書の作成などの事務作業もあります。
訪問看護ステーションの将来性
厚生労働省の「令和元年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、1年間で全国の訪問看護ステーションの数は10 ,884事業所から11,580事業所へ増えており、増減率は約6.4%(696箇所増加/年)になります。他の介護サービスと比べても増加率が高く、利用者も増加傾向にあるため、今後も需要が増えていくことが予想されます。
病院や施設では対応しきれないニーズに応えたいと考えるあなたにとって、訪問でのリハビリを選択肢に入れてみるのもいいかもしれませんね。
まとめ
訪問リハビリは利用者の自宅に出向いてリハビリなどのサービスを行います。訪問リハビリは、医療施設や介護老人保健施設に併設する事業所から提供されるものと、訪問看護ステーションからの看護サービスの一部として提供されるものに分けられますが、両者共に「訪問リハビリ」と呼ばれることが多いです。
※厳密には別のサービスです。
医療施設や介護施設ではない、訪問リハビリの魅力として、ご利用者の在宅生活に深く関り、実生活の環境に基づいたリハビリテーションを行うことができます。
また、介護保険制度やサービス、介護保険関係者、医療保険制度や障害福祉制度なども視野に入れた在宅環境の整備を行うことも仕事の重要な一部であるため、より広い知識と経験を得ることができます。
また、介護・医療関係者だけではなく、市町村や多職業・多職種と連携していく必要性があり、その点でも活動の範囲が広がり、やりがいがあります。
仕事内容としては、基本的に一人で訪問しますが、研修や先輩や上司との同行訪問も必要に応じて可能なため、安心して経験を積むことができます。
現在、訪問看護ステーションの事業所数と利用者は増加傾向にあり、今後も需要は増えていくことが予想されます。
よりご利用者の生活環境に近く、病院や施設では応えきれないニーズに応えたいと考えるたなた、ぜひ訪問看護ステーションへの転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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