感染症の流行や酷暑により、外出する機会が減って人と会話する機会や歌う機会、つまり「発声する機会」が減っています。
人とたくさんお喋りしたり、カラオケで思いっきり歌った後、
- 心が軽くなった
- 楽しい気持ちになった
- 運動した後みたいに汗をかいたり、爽快感を得た
という経験をされたことがある方も多いと思います。
発声することや歌うことは、心身に健康効果をもたらします。
デイサービスや介護施設などでも、積極的に歌やカラオケを活用し、利用者の健康に役立てているところが多くあります。
今回は「歌」と「健康」の関係についてご紹介します。
歌の健康効果
カラオケボックス「ビッグエコー」を運営している第一興商は、「カラオケとストレス解消効果」について調査しました。
調査では「週1回以上、1回につき1時間以上カラオケ歌唱」を行った113人を対象にデータを解析し、参加前のストレスアンケートと調査期間後に実施したストレスアンケートを比較しました。
結果、
- 気がはりつめている
- 不安だ
- ゆううつだ
と回答した人の割合が減少したことが確認されました。
ストレスがかかるとストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されますが、これがカラオケ後には減少していることが判明しました。
さらに、「歌うことが楽しくない」と思っている人でも、歌った後は同じように減少していることが分かりました。
歌うことは、それ自体にストレス解消効果があるといえそうです。
幸せホルモンが分泌される
歌っていると、感動的になったりうっとりするような気分になることがありませんか?
それは、「幸せホルモン」と呼ばれるアドレナリン、ドーパミン、エンドルフィンなどの脳内ホルモンが分泌されることによるものです。
これらには、アンチエイジングや落ち込んだ気持ちを和らげる効果があります。
有酸素運動になる
お腹の底から歌うと、ダイエットにも効果的です。
よりたくさんのカロリーを消費して運動として効果を高めるためには「腹式呼吸」で深い呼吸をして、お腹の底から声を出すことがポイントです。
嚥下機能がアップ
歌を歌うことで口のまわりの筋肉を使います。
これにより、加齢とともに衰える嚥下機能(食べ物や飲み物を飲み込む力)を鍛えることができます。
高齢者の嚥下予防にも歌うことは役に立っています。
歌いにくい時に自宅でできる体操
上記のように、歌うことは運動と似たような効果をもたらし、健康に多くのメリットがあります。
しかし、環境が整わないと歌う機会はなかなか作れませんよね。
そこで、自宅でも「歌う」ことと同等の効果が得られる簡単に行える体操をお伝えします。
その体操とは、
- リップロール
- 腹式呼吸
です。
これらは歌う前の準備運動として行われるもので、聞いたことがある方も多いと思います。
この2つを習慣にしておくことで、いざ歌う機会になっても、良いコンディションで歌を楽しむことができます。
リップロールのやり方
- 唇を軽く閉じます。
- 唇は閉じたまま「ブルルッ」と唇を振動させるように空気を出します。
- 慣れてきたら2に声を混ぜてみます。
- 3に慣れたら地声から裏声まで自由に発声してみます。
腹式呼吸のやり方
- 仰向けになり、手をお腹におきます。(膝を立てると横隔膜が動きやすくなります)
- 鼻から息を吸い込み、お腹が膨らむことを手で確認します。(胸の上に置いた手はあまり動かないことを確かめます)
- お腹の力を抜いて、口をすぼめてゆっくりと息を吐きます。(お腹が凹むのを確かめます)
まとめ
今回は「歌」と「健康」について掘り下げてみました。
歌は、心の健康やストレス発散になるということが分かりました。
ストレス発散には笑うことや泣くことの他に、大声を出すことも良いといわれています。
ご時世的、マスクをつけながら歌うことになったり、大声は出しづらいかもしれません。
しかし、家の中で少し小声で歌ったり、発声練習をしてみたり、車の運転中に歌うことができると思います。
自分が楽しめる範囲で、歌うことを生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?