お子さまにこんな症状はありませんか?
- 1人歩きができない
- ジャンプができない
- つまずきやすく、よく転ぶ
- 手すりを使わずに階段が昇れない
お子さまの成長や運動能力には個人差があって当然です。
他の子どもと比べて、少し遅くても心配することはありません。
しかし、このような症状が長く続く場合、何か病気が隠れている可能性もあり、その1つに挙げられるのが筋ジストロフィーです。
筋ジストロフィーとは?
筋ジストロフィーとは、手足などを動かす筋肉が破壊されていく病気です。
遺伝性の筋肉の病気の総称で、筋ジストロフィーと言っても、いろいろな病名があります。
以下に代表的なものを挙げてみます。
筋ジストロフィーにはどんな種類がある?
●ベッカー型筋ジストロフィー
男児に発症する。
高い年齢で筋力低下が出現してくるが、デュシェンヌ型と比較すると軽度となる。
しかし、心臓への負担は大きい。
●先天性型筋ジストロフィー(福山型)
乳児より発症するタイプは先天性として分類される。
●肢体型筋ジストロフィー
手足や肩甲骨周囲などの筋障害がある。
他の筋ジストロフィー以外のものを総称したもの。
●顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
顔と肩甲骨周囲の筋障害が特に強く出る。
ゆっくりと進行し、10歳頃くらいから腕の上がりにくさ、表情の乏しさなどが出現する。
●デュシェンヌ型筋ジストロフィー
原則、男児に発症しやすく、3~5歳で転びやすく、走れない。
10歳頃から車椅子生活となり、呼吸のしにくさ、側弯などが認められる。
(※側弯とは、骨の変形により体が横に曲がってしまうこと)
筋ジストロフィーのリハビリテーション
ここでは、特に「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」のリハビリテーションについて書いていきます。
リハビリテーションの目的
リハビリテーションを行う目的として、
- 関節が硬くならないようにする。
- 筋力が落ちないようにする。(腕や足・呼吸筋など)
- 歩きや車椅子の操作など、移動する手段を考える。
- 食事や排泄、着替えなどが行えるように、または介護しやすいように環境を整える。状況によっては自助具や福祉用具などを考える。
- 座っている姿勢が保てるようにする。
が挙げられなます。
関節可動域訓練
「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」は、筋ジストロフィーの中でも特に筋肉や関節が硬くなりやすいといわれています。
筋肉や関節の周囲が硬くなることで関節が伸びにくくなり、関節を動かしにくくなります。
そのため、腕が上がらなかったり、動作に合わせて足を動かしたりすることが難しくなってきます。
関節が硬くならないようにするために、腕や足を動かして、硬くなるのを防ぎます。
特に太ももの裏側やふくらはぎ、太ももの外側は硬くなりやすいとされています。
筋力トレーニング
筋力が落ちてくると、腕や足が動かしにくくなってきます。それを防ぐためには、運動が大切です。
しかし、筋ジストロフィーは筋肉を使いすぎると、痛みが出る場合があるので注意が必要です。
目安としては、運動中や翌日などに筋肉痛が出ない程度の負荷が望ましいです。
私たちは自然に呼吸をしていますが、呼吸をするにも筋肉の活動が必要です。
しかし、この呼吸するための筋力が落ちてくることで呼吸することが難しくなってきます。
そのため、呼吸訓練も必要となります。
日常生活の動作
筋力が落ちてくることで、今まで何気なくやっていた起き上がりや立ち上がりなどの動きが難しくなってきます。
また、移動する範囲を保つため、安全に歩くために装具などを使用したり、車椅子を操作する練習もしていきます。
姿勢
姿勢が崩れてくると、骨の変形や呼吸のしづらさが出てきます。
そのため、姿勢を保持するための筋肉を鍛えたり、クッションなどを用いて姿勢を矯正することが大切です。
きっと他にもいろいろとあると思いますが、私が考える目的を書かせてもらいました。
本人・家族とのコミュニケーション
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは進行性だとされています。
そのため、ご本人やご家族に戸惑いや不安など、いろんな感情が出てくると思います。
そのため、心理面でのお手伝いも大切です。
いろんな話を聞きながら、ご本人やご家族の想いを尊重し、関わっていくことが必須となります。
生活状況や年齢などで想いも違うため、コミュニケーションを十分に取ることが大切です。
まとめ
今回は、筋ジストロフィーの中でも、主にデュシェンヌ型のリハビリにについて書かせていただきました。
少しでも進行を遅くしたり、生活が楽に、安全に送れるようにリハビリを行います。
お子さまやお知り合いの方など、少しでも気になることがあれば、最寄りの病院へ受診をしていただければと思います。