変形性関節症は、加齢とともに多くの人が発症します。
関節の変形は体のあらゆる関節に発生する可能性がありますが、多くの場合、股関節などの体重を支える関節に発生します。
今回は、変形性股関節症とリハビリテーションについてご紹介します。
変形性股関節症とは
変形性股関節症の主な症状は、股関節(脚の付け根)の痛みと機能の障害です。
日本では急速に高齢化が進んでおり、明らかな原因がなくても、年齢とともに股関節のクッションの役目を担う軟骨が減ってしまい、発症します。
変形また関節症の症状ってなにがあるの?
変形性股関節症の症状は主に以下の通りです。
- 疼痛(股関節周囲の痛み)
長時間の歩行時や歩行後にだるさや運動時の痛みとして現れます。
病状が進行するにつれて痛みは持続的となり、安静時痛や夜間痛が出現してきます。
- 可動域制限
初期には可動域制限が目立つことはありません。
関節の変形が進行するにつれて、股関節の動きの制限がみられます。
靴下をはく、爪を切るなど日常生活に支障が出てきます。
- 異常歩行=跛行(はこう)
痛みがあるため、痛みをかばう様にして歩行をします。
かばうことで違う部分の痛みが出現することもあります。
変形性股関節症におけるリハビリの重要性
痛みや可動域制限により、活動量が低下してしまいます。
そのために靴を履く動作や爪を切る、階段を昇るなど日常生活に支障が出てしまいます。
研究では、リハビリを行なうことで痛みの改善や機能障害の改善に効果があるとされています。
(※変形性股関節症診療ガイドライン 2016)
リハビリの目的
変形性股関節症の方に対して行うリハビリには以下の目的があります。
- 痛みの軽減
- 関節可動域の拡大
- 筋力や持久力向上
- 歩行の改善
- 日常生活動作の獲得
変形性股関節症のリハビリの方法
主なリハビリの方法についてお伝えします。
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リハビリの種類
- 運動療法
- 温熱療法
- 徒手療法
などがあります。
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ウォーキング
歩くことで股関節の筋力を向上させ、脚を動かすことで関節可動域が広げる効果があります。
変形性股関節症の場合は、歩行速度を上げると股関節の衝撃が強くなるため、ゆっくりと歩くことが大切です。
また、フォームが崩れやすくなるため、股関節に負担がかかります。
ゆっくりと姿勢に注意してウォーキングを行いましょう。
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プール運動
水の浮力を生かした運動で、地上での歩行より負荷の少ないトレーニングができます。
体重から股関節へかかる負荷を軽減できるため、地上でのウォーキングでは痛みを感じる方は、水中でのウォーキングから始めると良いです。
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室内運動
股関節の可動域が制限される原因の一つが筋肉の緊張です。
室内での運動を通して筋肉の柔軟性を取り戻し、関節可動域を高めます。可動域が高まれば、運動にも効率よく取り組めます。
簡単な体操を紹介します。
「股関節と骨盤を動かす体操」
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椅子に座り骨盤に手をかけます
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おへそを出すように、ゆっくり骨盤を前方へ倒す
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おなかを引っ込めるように、ゆっくり骨盤を後方へ倒す
「股関節の柔軟性を上げる体操」
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仰向けで寝転び、両膝を立てる
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両膝をそろえた状態で左右へ倒す
日常生活で気をつけること
変形性股関節症を予防し、進行させないために日常生活で気をつけることは以下になります。
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背筋を伸ばす
不良姿勢は股関節の可動域や筋力を低下させます。
また、関節軟骨への負荷が増加し、痛みにつながります。できる限り背筋を伸ばしておくことで股関節への負担を軽くすることができます。
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低い位置での生活を避ける
畳のような和式ならではの低い位置で過ごす生活では股関節に負荷がかかります。
さらに立ち上がり動作でも股関節の負荷になることから、地べたでの生活から椅子を活用するなど、洋式の生活へと変えていく必要があります。
例えば、布団からベッドに変更することも一つです。
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減量する
肥満であることは、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。肥満傾向の方は注意が必要です。
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手すりの設置
段差の昇降は、股関節に負荷がかかるだけでなく転倒するリスクが高くなります。階段やお風呂場などには手すりをつけることで関節への負荷と転倒リスクを減らします。
まとめ
筋力低下や可動域制限があると、日常生活に支障が出てきます。
リハビリで筋力や可動域向上を図ることで、痛みの軽減や日常生活を楽に過ごすことができます。
また、環境を変えることも大切な方法です。ぜひ参考にしてみてくださいね。