全国の県や市町村で「買い物リハビリ」が注目されています。
加齢に伴う身体機能や認知機能の低下予防・改善にはリハビリテーションが有効ですが、リハビリ開始に至るまでの動機付けが難しいとされています。
そんななか、「買い物リハビリ」が高齢者の活動の幅を広げ、背中を押すことに影響を与えています。
本日は、「買い物リハビリ」についてご紹介します。
買い物リハビリとは
リハビリといえば療法士が関節を動かしたり、バランスの訓練をすることを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、リハビリといっても様々な形があり、買い物リハビリとは、お買物を通して介護予防を図るリハビリサービスの事です。
「買い物」という実際の生活動作を通して、頭や体を使い、生活の中にリハビリを取り入れるということは健康を維持する上で重要となります。
高齢者が自ら商店に行き、店内を足で歩き、自分の目で商品を選ぶといった一連の動作が、「買い物リハビリ」になります。
買い物リハビリが注目されている理由
それでは、買い物リハビリはどういった点が普通のリハビリと違うのでしょうか。
注目されている理由をご説明します。
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買い物リハビリは、日常生活を行う上で必要度の高い動作のひとつであり、「動作を促す」ことを目的としたリハビリに適しています。
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買い物に行く際、作るメニューを考えたり、食材を選択したりすると認知機能を賦活することができます。
また買い物や料理を通して自主性が生まれ、お店までの移動や店内での移動距離の延長を図ることができ、運動に繋ぐこともできます。 -
フレイルの予防に繋ぐことができます。
フレイルとは、病気ではないにも関わらず、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい虚弱な状態、または筋力や心身の活力が低下した状態をいいます。
フレイルには身体的・精神的・社会的と3つの柱があり、この3つが連鎖することで急激にフレイルの状態に近づいていくとされていますが、
買い物リハビリはこの3つの柱に対して良い効果があるとされています。 -
買い物ができない方でもすぐに買い物を他者が代行するのではななく、どの部分に問題があって出来ないかを明確にして支援することができます。
そのため、本人様が行えることは行い、サポートが必要なことは支援する事ができます。
買い物リハビリの効果・メリット
買い物リハビリのメリットや効果についてご説明します。
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歩行量が自然に増加する
買い物をすることで自然といつもよりたくさん歩くことができます。
楽しくたくさん歩くことで、介護予防の効果を期待できます。
また、楽しさが意欲向上に繋がり、他のことへも積極的に参加することができるようになります。
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社会的交流が図れる
高齢になると外出頻度が少なくなる可能性があります。
外出の減少により自宅に閉じこもってしまうことも少なくありません
。買い物リハビリに参加することで、利用者様同士やスタッフ・店員とコミュニケーションを図り、人や社会とのつながりが生まれ、社会参加ができます。
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実用的な動作練習ができる
買い物は商品を選ぶ、棚から取るなど、複合的な動作で成り立っているため、1つ1つの動作がリハビリになります。
手を伸ばす、頭を挙げる、バランスを取るなど買い物することで適度な運動を行うことができます。
商品を自分で選択するため、自主性が得られ、運動意欲向上に繋がっていきます。
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認知機能の賦活
予算を考えながら買い物をするため、認知機能が賦活され、さらに支払いの時にお札や硬貨を使用するため、指先の細かい運動になります。
計算や支払い時の指先の運動は、認知症予防にも効果が期待ができます。
買い物リハビリの具体例
では、具体的にどのように買い物リハビリが行われているのでしょうか。
愛知県のあるショッピングセンターでは、毎週水曜日に「買い物リハビリテーション」が行われています。
同市は高齢者施設の運営会社に委託して買い物リハビリを開始し、市内に住む65歳以上の高齢者を対象に希望者を募っています。
施設の職員らが施設からショッピングセンターまで送迎し、店に着くと血圧や脈拍を計測したあと、作業療法士らの指導で肩を回すなど、約30分間準備体操をしたあと、約1時間自由に買い回り、また自宅まで送迎してもらいます。
買い物リハビリに参加している7人全員が女性で、平均年齢は83歳。うち5人が1人暮らしです。
家族が買い物に連れていってくれるが、平日は頼みづらかったり、気を使わせているなど、個人でいろんな想いがあり、買い物リハビリを利用されているそうです。(参考:東京新聞WEB 2019.4.3)
まとめ
意欲を引き出し、運動をすることができる「買い物リハビリ」を紹介しました。
買い物リハビリでは、私達の日常生活の一部である買い物を行うことで、自然と無理なくリハビリを行なうことができます。
買い物リハビリには、手足の運動や認知機能の賦活、社会参加(人との交流)など多様な効果が期待できフレイル予防にも効果が期待できます。
普段何気なく行っている買い物をリハビリ的な視点で工夫して行うことで、日常生活にも手軽にリハビリを取り入れることができるので、参考にしてみてくださいね。