メディケア・リハビリ訪問看護ステーション大阪住吉の「出島会議」とは?〜社員がチームで自律的に動く仕組み作り〜

出島会議とは 住吉区の訪問看護ステーション プロアクティブとは 看護師のマネジメント 療法士のマネジメント

医療介護業界の制度改定や外部環境の不確実性が高まる中で、上からの指示を待つだけではなく、現場での変化の兆しを捉え、イノベーションの起点となって企業価値の向上につながる行動を自らとれる人材の価値が高まっています。

シンクタンクの日本総研によると、現場の視点によって自ら考え、主体的に行動し、自律的に自らのキャリアを構築していく「プロアクティブ人材」がこれから社会で求められるとされています。

これからの社会で求められる「プロアクティブ人材」とは

プロアクティブ人材とは、端的に言えば「自律的に考え行動する人材」を指します。組織やキャリアの両面から自分の「やりたい!」という気持ちを持ち、自律的に行動する人です。
たとえば、自ら企画立案をしたり、呼びかけをしたりするといった、主体的な適応行動が該当します。
企業が発展するためには、与えられたり反応を待ったりするのではなく、自ら主体的に考えてプロアクティブ行動を取れる人材が必要になってきます。

日本総研によると、プロアクティブ人材の指標は、

  1. 革新行動(仕事を前向きに変える行動)

  2. 組織化行動(関係者と連携しながら仕事を進める行動)

  3. 外部ネットワーク探索行動(社内外の人と積極的にネットワークを構築する行動)

  4. キャリア開発行動(自身のキャリアに必要なスキル・知識を身に付けようとする行動)

の 4 つの観点から構成されます。

経産省「未来人材ビジョン」とは

また、経産省でもこれからの社会に必要とされる人材モデルが公表されています。経産業省が調査した「未来人材ビジョン」では、日本の産業の現状や、これからどのような変革が必要なのかが紹介されています。

その中でこれからの時代に必要な能力として、

  • 常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力

  • 夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢

  • グローバルな社会課題を解決する意欲

  • 多様性を受容し他者と協働する能力

が挙げられています。現在は注意深さやミスの少なさ、責任感や真面目さが重視されていますが、これからは不確実な時代であるため、「問題発見能力」や「予測」、「革新性」が求められるようになります。

これらを総合して鑑み、その人の適性・興味関心に基づく人材開発、これからの時代の社員のキャリア育成を目的として、メディケ・リハビリ訪問看護ステーション大阪住吉では「出島」と呼ばれるチームディスカッションを定期的に開催しています。

出島会議とは

長崎の「出島」は、江戸時代の鎖国政策下で国内と違うルールが適用され、異文化の人々の出入りや貿易が許されていた場所です。
現在の企業でも、企業本体と切り離して自由に活動できる出島のような組織をつくることが有効であると、2018年頃から日本経済団体連合会においても議論されるようになりました。

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メディケ・リハビリ訪問看護ステーション大阪住吉でも、

  • 課題発見

  • 課題解決のための発案

  • タスクの洗い出し

  • 課題解決のためのアクション

を、マネジメント層・管理職がほとんど関わることなく、社員が自律的に行っています。
また、メディケア・リハビリ訪問看護ステーション大阪住吉には居宅介護支援事業所メディケア・リハビリ大阪住吉が併設されています。
訪問看護の社員が訪問看護業務以外の事業所におけるマネジメント業務の一旦も担うことで、スキルアップの経験ができ、今後のキャリアに大きなプラスとなることは間違いありません。

出島会議の実施風景

まず、大阪住吉営業所の現在の課題を大きく3つのテーマに分けました。

  1. サービスの質向上(対利用者様)

  2. 新規獲得のための営業活動方法

  3. 渉外活動(ステークホルダーとの関係性維持・向上のための活動)

です。

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次に、社員にアンケートをとります。
興味があり、参加したい上記の分野のチームを選び、出島会議に参加します。
第1回目のチームディスカッションでは、「アイデア出し」を行いました。いわゆるブレインストーミング(ブレスト)です。
普段、業務の中でさまざまな課題感を持って一生懸命に取り組んでいる様子が伺え、所定時間で収まらないほどの素晴らしいアイデアが提案されました。

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サービスの質向上チームでは、

  • 新入社員が先輩に質問したいことを目安箱みたいなもので気軽に聞けるようにすると聞きやすい。

  • 入院時に書面で病院へ情報共有をする。

  • 退院前カンファに参加とする。

  • 「ヒヤリハット」でリスクの高い情報を積極的に共有する。

  • まずはご利用者が何をサービスに求めているか知る必要がある。

  • 理学療法士、作業療法士の”ストロングポイント(得意分野)”が明確であれば、引き継いだり、リハビリの連携、営業での差別化が行いやすい(歩行に特化した理学療法士、小児分野経験豊富な作業療法士などの育成)

などの意見が出されました。

営業活動チームについては、

  • 名刺を常に渡せるように携帯することを指導する。自分で依頼をもらえるような教育を考える。 

  • 営業先の中核人物を知っておき、顔を覚えてもらう。

  • 事業所にどんなスタッフがいるかわかるように、チラシに顔写真や各職種のスタッフ人数を記す。職員紹介があってもよい。

  • 近くに困っている方はいませんか?などの紙を請求書などと一緒に同封する。

  • サービス担当者会議へ必ず出席する。スケジュール上参加できない場合は代行をお願いする。

  • 営業した事実の記録が必要。営業先機関名、ケアマネージャーなどの対応者の氏名の記録は最低限。

などの意見が出ました。出された意見は全て”三方良し”(近江商人の経営哲学:ステークホルダーの全てが喜ぶ行動)でした。
意見を吟味し、今後、実行計画に落とし込み、役割分担してチームで課題解決に向けてアクションを起こしていきます。

まとめ

社会的な傾向として、これからは「上からの指示を待ち」「指示通りに動く」のではなく、個々人が社内外を問わずに組織化し、「自律して動く」ことが求められるようになっていきます。
自ら課題を見つけ、解決策を模索し、実際に課題解決に向けて行動を起こしていく人材が求められます。

とはいえ、実際にどのように動けばいいのか、 どのようにプロアクティブ人材を目指せばいいのか、ということは一人では実現するのは難しいところがあります。
出島会議は、実際の事業所内の課題解決を通し、それらを学んで行く良い機会になります。 

そして、どんな場所に行っても「指示待ち」ではなく、自らチームを作り課題を発見、解決策を考え、実行に移していくことができる人材は重宝されます。
どんな仕事も”自分ごと”であればあるほど面白くなるものです。
今後もプロジェクトの進行に従い、社員が大きく成長していくことは間違いなく、その成長をご利用者に還元していきたいと思います。

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