令和7年(2025年)には団塊の世代である約800万人が75歳以上になります。それに伴い、医療や介護を必要とする人が増えることが予想されています。
大阪市の場合、総人口に占める65歳以上の人口の割合は2025年で約27.0%と推計されています。つまり、3人に1人が65歳以上になるということです。
高齢化と同時に進む少子化問題。それらの問題への対策として「地域包括ケアシステム」が提唱されています。
■目次
1.私たちの暮らしを支える「地域包括ケアシステム」とは?
2.地域包括ケアシステムを実践するために
3.住み慣れた地域での「自助・互助・共助・公助」
4.まとめ
私たちの暮らしを支える「地域包括ケアシステム」とは?
前述のように、2025年は団塊世代の人が75歳以上になり、少子高齢化が進みます。
すると、医療や介護が必要になる人数は増えるにもかかわらず、支える人が足りないという事態が生じる可能性があります。そこで厚生労働省は『地域包括ケアシステム』を推進しています。
2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的とし、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
つまり、地域包括ケアシステムとは、『住み慣れた地域』で『自分らしい暮らしを続けられるよう』に『地域』で支援できる体制を構築していくことです。
地域包括ケアシステムを実践するために
都市部と町村部では、高齢化の進行状況に差があります。同じ大阪府でも都市部と町村部によって人口比は違います。そのため、住んでいる地域によって地域包括ケアシステムの在り方は変わります。地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことを目指しています。
厚生労働省は下記の流れで地域包括ケアシステムを構築していく予定としています。
- ①地域の課題の把握と社会資源の発掘
- ②地域の関係者による対応策の検討
- ③対応策の決定・実行
この①〜③を繰り返していくことで地域に合わせた支援体制を整えていきます。それぞれについて少し詳しくご説明します。
地域の課題の把握と社会資源の発掘
市町村による住民の生活に関連したニーズの調査。地域包括支援センターを中心に地域ケア会議を行い、地域の課題を明確にします。また、それぞれの地域にあるNPOやボランティア団体を発掘、提携を図ります。
地域の関係者による対応策の検討
地域ケア会議で明確になった課題に対し、都道府県と連携し対策を検討します。
対応策の決定・実行
地域の課題に応じて医療・介護サービスの充実やNPOやボランティア団体と協力し、「自助」や「互助」を推進します。
※「自助」「互助」については後述します。
①〜③を実施することによって「地域に合わせたサービス」を構築します。この過程において必要なことは、私たちが地域に必要なヒト・モノ・コトを行政に届けることです。住んでいる地域によって必要な支援体制は異なります。
そのためには、私たちが今住んでいる地域にどんな人がいて、どんなサービスを利用することができるの知っている必要があります。
- 都道府県や市町村のホームページを調べてみる。
- 市役所に行って、困っていることを相談してみる。
などの私たちの小さな行動が、今後の地域をつくる小さなヒントになるのかもしれません。
住み慣れた地域での「自助・互助・共助・公助」
前述のように『地域包括ケアシステム』が超高齢化・少子化社会を乗り越えるために必要であるとされています。国や都道府県、行政に支援を受けながら、私たちが主体となり、普段から地域のことを考えて生活することがとても大切になります。地域包括ケアの基本的な概念として、「自助」「互助」「共助」「公助」という言葉が述べられています。
自助
- 自分のことは自分で(主に健康管理)
例えば、元気な時から定期的に健康診断を受け、病気や怪我をすることなく生活を続けることができるように心がけることを指します。適度な運動をして、過度な飲酒や喫煙を避けることも自助に含まれます。
互助
- NPOやボランティア活動、住民組織の活動
ボランティアや住民団体を中心とした支え合いです。地域の課題を地域の住民が力を合わせて支え合うことを指します。医療保険や介護保険といった公的なサービスを除きます。ご近所さんの家の掃除を手伝うことも互助に含まれます。
共助
- 介護保険に代表される社会保障制度やサービス
医療保険や介護保険など、社会保障制度で社会全体を支えることです。
家が掃除できないため、ケアマネージャーにお願いしてヘルパーさんを依頼することは共助に含まれます。
公助
- 一般財源による高齢者福祉事業
生活保護や人権擁護、虐待対策など。税による公(おおやけ)の負担を指します。
まとめ
地域包括ケアシステムでは地域が主体となって活動する「自助」や「互助」が特に重要になるとされています。住み慣れた地域で長く住み続けるための「自助」。ご近所さんが困った時にちょっとした手助けをする「互助」。
私たちが住み慣れた地域で末長く生活していくために、地域で一丸となった取り組みがこれからますます重要になってきます。