普段私たちが生活している中で、単純な「物忘れ」は割とよくあります。
「何かを取りに部屋に入ってきたけど、何を取りに来たんだっけ?」ということは誰にでもあることですよね。
では、単純な「物忘れ」と「認知症」の違いは一体どこにあるのでしょうか?
「認知症」の種類
認知症とは、何かの疾病によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態のことをいいます。
そもそも、広義の「認知能力」とは、
- 理解
- 判断
- 倫理
- 思考
- 計算
- 学習
- 言語
などの能力のことです。
認知症を発症するとこれらの能力が低下し、状況を理解できなかったり、判断力が著しく低下してしまいます。
認知症は症状の総称なので、病名ではありません。認知症の病名は主に以下の3つがあります。
認知症のうち、およそ半数はアルツハイマー型認知症です。次に多いのがレビー小体型認知症、そして血管性認知症と続きます。これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。
「アルツハイマー型認知症」の特徴
アルツハイマー型認知症の特徴は、新しい場所や出来事が理解できなくなったり、時間や場所がわからなくなることが多いです。
- 画像で確認できる(脳の萎縮)
- 幻覚や幻想を含まない物忘れ
- 物盗られ妄想(ものとられもうそう:財布が盗まれたなどの妄想がある)
「レビー小体型認知症」の特徴
レビー小体型認知症は、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が比較的目立ちます。
- 画像で確認しにくい
- 幻覚・幻聴を伴うもの忘れ
- うつ状態
- パーキンソン症状あり・・手の震え(震戦)、バランス障害、歩きにくいなど。
「血管性認知症」の特徴
脳梗塞や脳出血などにより、脳の細胞が壊死したこともより起こる認知症
- 画像で確認できる(脳卒中として)
- 物忘れが中心
- 手足の運動麻痺・しびれ
当然ながら、これらの疾病が何重にもなっていることも多く、レビー小体型認知症が主だが、血管性認知症も合わせて症状が出ている、ということもよくあります。
上記ほど単純な症状の差が出ないことも多いですが、あくまで知識として知っておいても損はないと思います。
加齢による「物忘れ」と「認知症」の違いとは?
「昨夜の晩御飯に何を食べましたか?」と聞かれた時に、「何だったかな?」とはっきりと覚えていないことがあります。その程度であれば、認知症かな?と心配する必要はありません。
一方で、「昨夜、晩御飯を食べた記憶がない」となると認知症の疑いがあるかもしれません、
認知症の方の場合「1ヶ月前に行った旅行で〜」という話をしていた時に、確かに行っていたことを周りの人も知っているにも関わらず、「旅行に行ってない」と訴える場合があります。
つまり、認知症になると、出来事そのものが記憶から欠落してしまい、全く覚えていないことが多いです。
認知症の方によくあることとして、「離れた場所に住んでいる家族に、1日に何度も同じ内容の電話をする」というのがあります。これも、話した内容ではなく、家族に電話したこと自体を忘れてしまうために起こります。
少しの物忘れは誰にでもあるので、物忘れがあるからといって認知症なのではなく、通常の生理機能の範囲です。過度に心配する必要はありません。
一方、生活の中で記憶が欠落し、日常生活に支障がある場合、ご家族や医師に一度相談してみると良いかもしれません。