脳卒中の原因
脳卒中は脳の血管が破れたり、詰まったりすることで脳に血液が供給されなくなり、脳細胞に障害が出現する疾患です。その結果、脳の細胞が障害され、私たちの生活に影響を与えます。
脳卒中の原因の1つに「生活習慣病」が挙げられます。
厚生労働省が平成26年行った調査(「平成26年 患者調査の概況」)では、なんと1000万人近くが高血圧と診断されているようです。
脳卒中の症状について知ることで、少しでも生活習慣病の予防やご家族の介護に役立てつかもしれません。
脳卒中の症状
脳卒中の症状には、主に、
- 運動麻痺
- 感覚麻痺
- バランス障害
- 高次脳機能障害
があります。
以下に詳しく説明していきます。
運動麻痺
運動麻痺脳卒中の場合、脳細胞が障がいされることにより、手足の動かしにくさが生じます。
一般的に右側の脳が障害されると、反対側の左の手足に運動麻痺が現れます。
「歩く」ことが円滑にできなくなり、病院や施設でリハビリテーションに取り組む必要があります。脳卒中後、脳細胞の回復に伴い、運動麻痺は徐々に回復します。
しかし、回復の程度には個人差があり、リハビリテーションは「回復を助ける役割」もあります。
また、近年では再生医療やロボット医療など運動麻痺の回復を促進する研究も進んでいます。
感覚麻痺
「右と左で触られている感覚が違う」
「麻痺している方はお湯が熱く感じる」
脳に障害を受けた後、このような言葉をよく聞きます。
このように、触られている感覚(触覚)や温度の感覚(温覚や冷覚)を『表面感覚』と呼びます。
また、
「歩いている時に地面を踏んでいる感覚がない」
と訴える方も多いです。
歩いている時、足に体重が加る時に筋肉や関節から脳に伝わる感覚を「深部感覚」と呼びます。
感覚麻痺は目に見えない症状です。
特に入浴場面は注意が必要で、介護をする方が適温だと感じていても、介護をされる方は極端に熱く感じたり冷たく感じたりしている場合もあります。
お互い確認し合いながら入浴しましょう。
バランス障害
「バランス」は、
- 静的バランス
- 動的バランス
の2つに分けられます。
「静的なバランス」とは、止まっている時や立っている時のバランス能力のことです。
「動的バランス」は歩いている時や、周囲の環境が変化している時のバランス能力のことです。
バランスを保つためには、
- 運動能力:関節の柔軟性や筋力
- 感覚機能:表面感覚や深部感覚
- 平衡機能:姿勢を整える神経の反射機能(立ち直り反応)
- 認知機能や環境
が互いに影響し合いながら作用しています。結果、地面や周りの環境に適応させながら体のバランスを一定に保つことができます。
脳卒中後、運動麻痺や感覚麻痺が出現すると、バランスを保つために必要な各機能が充分に働きません。
そのため、脳卒中後は転倒の危険性が高くなるのです。
転倒を防ぐためには「適した移動補助具」が必要です。
移動補助具とは、杖や歩行器などのことです。
これらの福祉機器は介護保険を利用してレンタルすることも可能です。
また、最近では福祉機器もカラーバリュエーションが増えたり、デザイン性を追求したものも開発されています。気になることがあれば病院の相談員や地域包括支援センター、ケアマネージャーに聞いてみることをお勧めします。
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、脳卒中により言語や思考、記憶、注意などの知的機能に障害が生じた状態を指します。
厚生労働省が平成28年に行った調査(平成28年 生活のしづらさなどに関する調査)によると、医師から高次脳機能障害と診断された人の数は32万人と推定されています。
高次脳機能障害は、感覚麻痺と同様に目に見えて分からない症状が多くあります。
これらの障害は、「脳の機能低下によってこれらの症状が現れている」と周囲の人が理解することが重要です。
例えば、失語症は「言葉を話す能力」と「言葉を理解する能力」の片方、もしくは両方に障がいが生じます。言語に障害がある人と話す場合、ゆっくり、はっきりと話すようにすることで意思疎通が図りやすくなります。
お互いの会話が円滑に進まず、相手の言葉を引き出そうと焦らせたり、早口で話すとお互いにストレスになり、良好なコミュニケーションを取ることができない場合もあります。失語症の程度にもよりますが、最初は「はい」・「いいえ」のみで答えられるような簡単な会話からはじめてみるのもオススメです。
まとめ
今回は脳卒中の症状の一部を紹介しました。運動麻痺やバランス障がいは歩く動作や立ち上がる動作を見ると誰が見ても分かることが多いです。
しかし、感覚麻痺や高次脳機能障害は目に見えず、実際に接してみないと分からないことが多いため、周囲の人の理解も大変重要になってきます。