在宅介護者世帯の約半数は、「老老介護」に直面しているといわれています。
自分自身の老後の不安も抱えながら、両親や配偶者の介護を行う在宅介護では、
- 腰痛
- 持病の悪化
- ストレス
- 睡眠不足
などで心身ともに疲労してしまいがちです。
こういった「介護疲れ」は、介護者がたとえ若い人であっても、社会とのつながりを介護によって失うことが多く、社会的に孤立してしまい精神的に追い詰められやすい状況になることがあります。
介護疲れの予防策
介護疲れを予防するために、基本的なことですが、特に重要なことをご紹介します。
①ラクにできる介護力を身につける
- 更衣
- おむつ交換
- 身体の清潔
- 移動
などの介助のとき、介護者の動作に後述のようなボディーメカニクスの基礎を応用すれば、力に頼った無理な姿勢を取る必要がなくなり、介護者の腰や肩への負担が軽減されます。介護疲れを予防するために、まずはよりラクにできる介護方法を身につけることが大切です。
ボディーメカニクスの基礎知識
- 介助をする際は、足を広げて重心を安定させる。
- 力を入れる際は膝を曲げ、腰を低くする(姿勢を低くすると重心が安定する)
- 立ち上がり動作の介助の際は、被介護者に声掛けをしてタイミングを合わせて協力してもらう。
- 身体を起こすときや移乗を行うときは、自分の重心(体)をできるだけ相手に近づける。
その他には『てこの原理』を応用することも大切です。
例えば、ベッドで仰向き(仰臥位)から横向き(側臥位)に体位を変換するとき、自分の体を支点代わりにすることで、より小さな力で動かすことができます。
腕や足など末端の筋肉にだけ頼るのではなく、できるだけ大きな筋肉を使いましょう。重心を近づけて被介護者に体を密着させて行うことで、体幹の筋力を使うことができます。
便利な道具も利用する
いくらボディーメカニクスを使っても、腰を曲げる、捻る、持ち上げるなどは身体的に負担の大きい動作を伴います。
そんなときはスライディングボードや介助ベルトといった便利な道具を利用することも大切です。
スライディングボードは、被介護者を寝た姿勢のまま、安全、スムーズにリクライニング車いすに移乗出来るので、介護者の腰痛の予防になります。
介助ベルトを使えば、起立や着座、歩行のサポートがラクに行えます。
②相談先を増やす
ケアマネージャー(介護支援専門相談員)やヘルパー(介護士)、親戚やご近所の方に介護について相談することも大切です。
また、お住いの市町村の相談窓口からは各地域包括支援センターを通じ、
- 介護
- 健康
- 生活
- 在宅療養
- 認知症に関する相談
- 介護予防メニューの紹介
- 在宅福祉サービス
- ネットワークづくり
- 権利と擁護
など様々な相談に応じてくれます。
③介護サービスを上手に利用する
介護施設やショートステイ、デイサービス、訪問介護など介護サービスを上手に利用しましょう。
例として、デイサービスでは、
- 利用者の送迎
- バイタルチェック
- 入浴の支援・介助
- レクリエーション
- リハビリ
- トイレの誘導やおむつ交換
- 食事の支援・介助
などを行なってくれます。
まとめ
介護疲れを予防するためにできる基本的なことをご紹介しました。
介護者自身の時間を確保するように心掛けることで、家族の介護を続けることができます。
介護や福祉は社会全体で支えるものです。
家族とはいえ、介護者だけで介護を100%背負うことのないようにしていくことが大切です。