弊社では3か月に1回程度、外部講師を呼んでの社内勉強会を開催しています。
今回は名古屋学院大学の石垣先生をお招きして、「身体活動マネジメントの実施〜リハ・ケアの視点〜」のお話をしていただきました。
身体活動(量)をマネジメントする
身体活動(量)を簡単に分けると2種類あります。
- 健康を意識した運動
- 日常生活における生活活動
まず、このどちらをターゲットにするのか。個々の疾患や機能障害を考慮して、対象者の価値観や環境とすり合わせながら主体的に取り組めるよう設定していく必要があります。
そして、そのターゲットについて1日を通してマネジメントする視点が重要になってきます。
マネジメントの前に、まずは評価
マネジメントするには、まず評価する必要があります。
活動量の評価には
- 質問紙式
- 身体活動量計(加速度計)
の2つがあり、在宅の高齢者を対象にした場合は「身体活動量計(加速度計)」が有用になります。
その理由は、
- 装着が簡単
- 客観的に定量化が可能
- 信頼性と妥当性が高い
また、可視化した状態で評価結果が出るため、対象者へのフィードバックもしやすく、他職種との連携にも有効に使うことができます。
評価の次は介入方略
評価の次は介入方略を立てていきます。
しかし、声掛けだけで自発的に動いてもらうのはなかなか難しかったりしますよね。
そこで有効になってくるのが、理論に基づいた介入方略です。
- Health Action Process Approach(HAPA)理論
- 動機付け
- 目標の階層性
特に印象的だったのが、HAPA理論です。
あまり聞きなれない言葉ですが、意図はあるものの行動に移せないこと(意図と行動の乖離)を、「計画」という要因を考慮することで説明する心理モデルです。
目的とする健康行動(健康を意識した運動や日常生活における生活活動)を行うことに対して評価を行うことで、どうして対象者が健康行動を行わないかと考察することができます。
つまり、HAPA理論を用いて系統的に整理することで
- どうして健康行動を行えないのか
- 対象者はどこで躓いているのか
を見つけることができ、対象者をより丁寧に・具体的に見ることができます。そのため、根拠に基づいた介護方略を立てることができます。
まとめ
そのほか、事例提供や石垣先生と参加者でディスカッションを行ったりしました。
特にディスカッションでは、過去の自分がしてきた取り組みの成功事例や失敗事例に大盛り上がり。
この研修会のテーマである「身体活動(量)」というのは、連携して支援していかなければならないものです。
しかし、その具体的な方法が分からず、必要と分かっているのになかなかできないという現状もあるのかなと思います。
そこに「活動量計」という1つのツールやHAPA理論という共通の考え方があれば、共に評価し、共に考え、共に実行できるのではないでしょうか。
研修会だけでは終わらず、今後、社内の取り組みとして発展させていきたいです。