ご自宅で安心・安全に過ごすために
昨今、在宅医療の推進や自宅で看取りをするケースも増えてきており、一般の方にも介護保険制度や介護・福祉関係の制度の理解がある程度求められるようになってきました。
そこで、住みなれたご自宅で末長く安心・安全に過ごすために必要となる、介護保険制度の概要についてご紹介します。
介護保険サービスとは
介護保険を使って利用できるサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は主に自宅で生活しながら受けられる介護保険サービスをご紹介します。
介護保険を受けられる人は?
- 65歳以上の方(第1号被保険者)
- 40歳から64歳の方(第2号被保険者)で介護保険で対象となる疾患※(特定疾患)になった方
特定疾患とは?
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)
※2019年10月現在
自宅で受けることができる主な介護保険サービス
自宅で介護保険を使って利用できる主なサービスをご紹介します。
全部覚える必要はなく、後述する担当ケアマネジャーや市町村各窓口など、在宅での介護の困りごとを相談できる相談先を確保しておくことが最も重要です。
訪問介護(ホームヘルパー)
入浴、排泄、食事などの身体にまつわる介護や調理、洗濯、掃除などの家事を行うサービスです。
訪問看護
看護師が医師の指示のもとで、健康チェックや処置、療養の支援を行うサービスです。(※訪問看護についてはこちらのページでも詳しく紹介しています。http://kango.medi-care.co.jp/visit_care/)
訪問リハビリテーション
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問し、心身機能の回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います。
居宅療養管理指導
医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士が、難病や障害等で通院が難しい利用者の自宅を訪問して医学的な管理や指導を行います。
訪問入浴
看護職員と介護職員が利用者の自宅に浴槽を持参し、身体の健康チェックや入浴の介護を行います。
夜間対応型訪問介護
夜間帯にホームヘルパーが自宅に訪問します。
夜間帯に定期的に訪問し、排泄や介助、安否確認を行います。
また、転倒時等には臨時訪問することも可能です。
福祉用具貸与・購入
車いす、ベッド、手すり、歩行器などのレンタル・購入ができるサービスです。
住宅改修
手すりの設置や段差のバリアフリー化、トイレを洋式にするなど、工事費用に補助金が支給されます。一軒につき20万円が上限ですが、要介護度が3段階上がった場合(例:要介護1→要介護4)や転居した場合は再度給付が受けられます。
通所介護(デイサービス)
デイサービスセンター等に通い、食事や入浴などの支援、心身の健康維持・向上を目的とした体操・レクリエーションなどを行います。
家族の介護負担を軽減を図る目的もあります。
通所リハビリテーション(デイケア)
施設や病院などで日常生活の自立を助けるために理学療法士、作業療法士等がリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持・回復を図るサービスです。
短期入所生活介護(ショートステイ)
施設に短期間宿泊して、食事や入浴などの支援、心身の機能維持向上するためのリハビリテーション・機能訓練を受けることができるサービスです。家族の介護負担軽減を図ることもできます。
短期入所療養介護
介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに短期入所し、医学的管理の下で入浴・排泄・食事などの介護や機能訓練を受けることができます。上記のショートステイよりも医学的要素の強いサービスです。
小規模多機能型居宅介護
訪問、通い、宿泊を組み合わせて、施設への通いを中心に短期間の宿泊や利用者の自宅への訪問を行い、日常生活の支援を行うサービスです。
その他、さまざまな介護保険サービスがあります。
介護保険サービス利用のポイント
介護保険を利用したいと思ったときに、
「介護保険の利用が認めらる状態なのか?」
と疑問に思ったり、
「どこに相談に行けば良いのか分からない」
というご相談がよくあります。
介護保険サービス利用の流れ
お住いの役所にある介護保険窓口に相談するか、各市町村に併設されている地域包括支援センターへ相談します。
その後、要介護(要支援)認定を受けるための申請についての説明があるので、手続きを行います。
後日、役所から依頼を受けた認定調査員がご自宅を訪問し、心身の状況や日常生活の状況について、本人やご家族の方から聞き取り調査を行います。
調査から約1か月程で市役所から通知がきます。要支援1、2と認定された方は地域包括支援センターの担当職員が介護予防サービス計画書を作成します。
要介護1〜5と認定された方は、お住まいの地域で活動しているケアマネジャーと契約して介護サービス計画書を作成してもらいます。
介護サービス計画書に計画された内容のサービスが提供されます。
自己負担額について
利用料の負担額について、介護保険サービス利用料の自己負担額は、収入に応じて決められており、1〜3割の自己負担となります(※2019年10月現在)。
本人の収入と世帯収入により負担額が変わってきますので、ご注意ください。
どのケアマネジャーに頼れば良いのか分からないとき
各市町村の介護保険課や地域包括支援センターで、お住いの地域のケアマネジャーが在籍している居宅介護支援事業所の情報を教えてくれます。
また、
- 実際に介護保険サービスを利用している人の口コミを参考にする。
- 実際に連絡をして状況を説明した際、親身になって相談に乗ってくれる。
- 疑問や質問に対してわかりやすく教えてくれる。
- そのケアマネジャーが得意な分野を聞いてみる。
なども一つの基準になります。
例えば、医療的な管理が必要な疾患がある方や処置が必要な方(人工呼吸器、気管切開、胃ろうなど)は、看護師など医療関連の国家資格をもつケアマネージャーであれば心強いかもしれません。
介護保険は被介護者・介護者両方を守るために利用する
介護保険制度を必要な範囲で活用し、介護が必要な状態になっても住み慣れた場所で過ごしたいものです。
介護保険のサービスには、通所介護(デイサービス)や短期入所介護(ショートステイ)など、介護者が自分の時間を確保するために活用できるサービスもたくさんあります。介護は被介護者がいなければ成り立たないので、被介護者(介護される方)はもちろん、介護者の安心と安全、介護負担軽減も充分考慮した上で活用していくことが重要になります。