7月に開催して大好評だったメディケア・リハビリ研修会「気になるこどもの理解と対応」の第2弾を開催しました!
今回は、前回と同様に丹葉寛之先生(作業療法士 / 和歌山リハビリテーション専門職大学 準備室)に講師を務めていただき、「気になる子ども」の捉え方や考え方のお話や動画を使った事例検討会などを行いました。
気になる子どもの捉え方~大人と子どもの視点~
まず、子どもの行動と、その行動に対する大人の捉え方が必ずしも一致しているとは限らないというお話です。
大人から見ると「落ち着きがない行動」でも、子どもからすれば実は「落ち着くための行動」であるということがあります。
子どもの行動を理解するためには主観的な見方ではなく、客観的に色々な側面を見る必要があります。
例えば、
- 障がいの特性
- 個人の特性
- 健康状態
- 心身機能(感覚「インプット」→運動「アウトプット」の仕方や得意・苦手など)
- 環境因子
など。
それに加えて、
- マズローの欲求段階
- 作業分析
- 発達課題の理解
などを組み合わせながら、「その子」を理解していくことが大切です。
ASD(自閉スペクトラム症)のお子さまの事例
●CASE1:Aくん(支援学校小学部3年生)
●診断名:ASD(自閉スペクトラム症)
●相談内容:
①物を投げてしまう
②近くにいる人に手が出てしまう
③音楽発表会の練習が続いたときは、家に帰ってからテンションがとても高くなる
●要因分析:①②
障がいの特性から、物を投げたり近くの人に手が出てしまったりなどの行動は、衝動的な行動ではないと考えました。
そこでAくんの行動を観察していると、身体接触を多く求めていることが分かりました。
物を投げたり近くの人に手が出てしまったりするのは、「手に刺激を入れるための行動」ではないかと考えました。
●要因分析:③
また、聴覚刺激に過敏な様子も見受けられました。
Aくんとしては、音からの刺激を頑張って我慢して音楽発表会の練習をしているため、家に帰るとそのストレスを発散するためにテンションが高くなってしまうのかもしれない、という仮説を立てました。
●サポート内容:①②
適度にぎゅっと抱きしめることで身体接触を増やし、クールダウンできるようにしました。
●サポート内容:③
聴覚の刺激が入りにくいよう空間的なサポートを行いました。
●結果:
本人の行動が徐々に変化していき、最終的には落ち着いて音楽発表会を迎えることができました。
まとめ
グループワークではひとりの男の子の動画を見て、その子の特性や得意なこと、苦手なことをそれぞれ共有し、研修会の内容を改めてアウトプットしていきました。
今回の研修会では、リハビリ職、相談支援員、児童指導員、保育士、保護者、学校教員など多職種の方にご参加いただきました。
そのおかげで療育、保育、育児、教育など、さまざまな視点から話し合うことができ、とても有意義な時間になりました。