転倒しやすい人はどんな人?2つの転倒危険因子

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寝たきりになる原因の一つに、”歩行中の転倒”があります。
寝たきりを予防するために、まずは原因となる転倒の危険因子を知っておくことは大切です。

転倒の危険因子

転倒の危険因子には主に、

  • 内的要因
  • 外的要因

の2つがあります。

内的要因

内的要因は3つあります。

  • 加齢変化
  • 身体的疾患
  • 薬物の影響

 

■高齢者の場合

高齢者の場合、下記によって転倒リスクが高くなる傾向にあります。

  • 筋力
  • バランス機能
  • 視覚、聴覚などの感覚機能の低下

 

■パーキンソン病など運動失調症がある疾患の場合

バランスや歩行に障がいがある方は、転倒リスクが高くなります。

特にパーキンソン病では「突進歩行」という特徴的な症状が出現します。
「突進歩行」とは、体が前のめりになって加速して止まれなくなってしまうことをいいます。
また、後方への重心移動が苦手になる方も多く、後ろに体勢を崩した際に足を後方に出して踏みとどまることが難しくなります。

■認知症がある場合

  • 自身の身体的な能力を適切に把握できな
  • 注意散漫
  • 周囲の環境の把握不足

などにより、転倒リスクが高くなります。
歩行中に急に床の物を拾おうとして転倒することもあります。

■視覚障がいがある場合

視覚障がいがある方は周囲の環境が把握しにくいため、転倒リスクが高くなります。
高齢者に頻発する白内障も同様です。

■片側の疾患の既往がある場合

既往に大腿骨頸部骨折がある方は、骨折した側へ転びやすくなります。
また、脳卒中の後遺症である片麻痺がある方は、麻痺側への転倒リスクが高くなります。

■脊髄損傷の既往がある場合

脊髄損傷の既往がある方は、歩行中に足の特定の筋肉に力が入らず、膝折れ(膝が折れて尻もちを打つ)が起こる場合があります。

外的要因

外的要因では、周囲の物的環境があります。

スリッパや靴下などの影響ですべって転倒につながることもありますし、物やコードにつまずくこともあります。
室内では整理整頓を心がけ、床に必要以上に物を置かないようにすることで転倒を予防することができます。

その他

■転倒歴

過去に転倒歴がある方は転倒リスクが高くなることが統計上わかっており、特に注意が必要です。

■歩き方

転倒しやすいかどうかは、歩き方によってもある程度推測できます。
具体的には、歩行中に足が地面に接地する時を観察します。

正常な歩き方の場合、かかとから接地し、一定のピッチ(歩くリズム)で歩行します。
もし地面に足底全体で接地(すり足)していたり、ふらつきがあってピッチが一定でない場合は注意が必要です。
――健康になるための歩き方のポイント

まとめ

転倒を予防するためには危険因子を理解し、1つでも減らしていくように取り組むことが大切です。

 

参考)鈴木隆雄:転倒外来の実際.臨床医 2002;28:1830-1833、黒川美知代:急性期病院における転倒予防対策チーム 医療安全管理者として―患者の行動支援を基本に多職種で検討する―.MB Medical Rehabilitation 2018;(221):8-13.

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