訪問看護を楽しむ言語聴覚士×インタビューvol.06

ST 言語聴覚士 訪問看護 訪問看護ステーション 在宅分野

現在、日本に言語聴覚士が何人いるかご存知ですか?
正解は――31,233人(2018年3月データ)です。
理学療法士が96,648人(2016年4月データ)、作業療法士が57,960人(2017年度データ)いることを考えると、言語聴覚士の数はまだまだ少ないと言えます。
また、在宅分野(訪問看護ステーションなど)で活躍している言語聴覚士となると、更にその数は少なくなります。
2015年の厚生労働省の資料によれば、日本の訪問看護ステーションに在籍するそれぞれのリハビリ職の割合は、
理学療法士:1事業所あたり 0.9人
作業療法士:1事業所あたり 0.4人
言語聴覚士:1事業所あたり 0.1人
だそうです。
それだけ、在宅分野で言語聴覚士が足りていないということです。

その背景には、そもそも有資格者が他リハビリ職と比べて少ないことに加え、「在宅で言語聴覚士は何ができるのか分からない」といった疑問や不安が多くあることも原因だと思います。
そこで今回は、弊社で実際に働いている言語聴覚士のSさんに、在宅の言語聴覚士について聞いてきました!

絵カード 言語聴覚士 ST 在宅分野

失語症のご利用者からSOSの電話。一大事に頼ってきてくれたこと、そして言葉での意思疎通――。

――在宅での言語聴覚士(ST)のリハビリとはどういったものですか?

病院との一番大きな違いは、訪問看護という字そのままなんですけど、ご自宅へ訪問してリハビリをするということですね。
ご自宅なのでご利用者さんもリラックスした状態でリハビリできますし、ご家族さんとも直接お話ができるので、お互い安心して進めることができます。
それから、リハビリは担当制なので、身体状況だけじゃなく、ご自宅の環境も自分の目で見てアドバイスできたり、より深くご利用者さんと関わることができます。そういうところも在宅ならではですね。

 

――訪問での言語聴覚士の仕事で、どんなときにやりがいを感じますか?

私たちが普段何気なくやっている会話や、朝・昼・夕の食事などが突然、病や障がいによってできなくなるということは、健康な時は想像もつかないことだと思います。
そのような方やご家族さんと関わらせていただくことで、その方がもう一度「食事が摂れる」「大事な家族や人と会話で気持ちを伝え合える」という良い方向へのお手伝いができたと思う瞬間が一番やりがいを感じます。

 

――逆に大変だと思うことはありますか?

大変、というよりは心配事なんですけど…。
在宅での言語聴覚士のリハビリは、短時間の訪問でも嚥下障害があるご利用者さんへの食事介助や評価を迅速に行う必要があって、リハビリ中はパルスオキシメーターや聴診器を使用した頚部聴診など、最善の状態で評価を行っています。
でも、リハビリが終わって私が帰ったあと、状態は変化していないかな? 来週まで状態や体調に変わりはないかな? といつも心配しています。
病院なら、何かあればすぐに近くの看護師さんや医師に診てもらえるんですけど…。

 

――Sさんそういうとき、どうしているんですか?

私の場合は、気になることがあれば事務所に帰ったらすぐに看護師さんに申し送りしてます。
本当に何かあったときは連絡をいただければ状態確認など、自分ができる限りの対応をしていますし、看護師さんの24時間緊急対応もあるので、いざという時でも大丈夫だと思います。
それでも、やっぱりご利用者さんのことは気になっちゃうんですけどね(笑)

 

――心に残るご利用者さんとの思い出はありますか?

いろいろあるんですが、その中でも、失語症のため、言葉で自分の思いを伝えるのが難しいご利用者さんとのことは思い出深いですね。
その方からある日、携帯電話に連絡があったんです。
電話に出ると「旦那さん、へん」と繰り返されるので「体調が悪いのですか?旦那さんの口に電話を持って行ってください」と質問形式で尋ねると、電話口から旦那さんのうめき声と呂律の回らない声が聞こえたので、すぐにケアマネジャーさんに連絡しました。
結果、旦那さんは脳梗塞だったのですが、駆けつけたケアマネジャーさんがすぐに救急搬送してくれたおかげで後遺症もなく退院されました。
ご利用者さんはどちらかといえば消極的な方で、リハビリも休みがちだったのですが、旦那さんの一大事という大変な時に私に一番に電話をかけてきてくれたこと、そして言葉での意思疎通ができたことは、訪問をしている間に少しずつでも心を開いてくださっていたんだなと分かってとても嬉しかったです。

 

――訪問を通じてちゃんと心が通じていたんですね。

はい。旦那さんが退院されてリハビリを再開し、久々にお会いしたご利用者さんは「びっくりじゃー」とニコニコされていて、その顔を見たとき、STをしていてよかったなあ、と思いました。

 

――ところで、Sさんはどうして病院から在宅に来ようと思ったんですか?

一番は子育てのしやすさですね。
病院で5年務めて経験も少し積めたところで、今後のことを考えたとき、子育てがしやすい働き方をしたいなと思いました。
そんなとき、知人の紹介でメディケア・リハビリを知りました。
病院だと子どもの体調不良や参観なんかの学校行事があると一日お休みをもらうことになるんですけど、メディケアだと中抜けや早退がでるのでとても助かってます。
自宅から事業所が近いので、入社当初は保育園の送迎がしやすかったのもポイントでした。

【一日のスケジュール】

6:00 起床 お弁当の準備
7:00 家族を送り出したあとに掃除、身支度
9:00 直接ご利用者さん宅へ。
    訪問の他に、委託事業や看護師さんからの相談訪問なども行います。
11:00 日によって訪問状況が変わるため、お昼休憩は持参したお弁当を
     空き時間で食べます。
12:00 午後の訪問業務。
 〜
18:00 訪問終了後、ご利用者さん宅から直接、子どもの習い事のお迎えに行きます。
19:00 夕食と子どもの宿題チェック
20:00 お風呂
21:00 子どもの寝かしつけ
22:00 家事を終えてひと段落したあと、ニュースを見ながらヨガやストレッチ、
     スキンケアなどのセルフメンテナンスをしています。
23:00 就寝


 

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