前回に引き続き、小児訪問看護に関わる看護師からよく聞く不安や悩みごとについてお話します。
今回は特に、子どもの障害の受容ときょうだい児にスポットを当てました。
「小児への訪問はやっぱり不安や心配ごとが多い…」と感じているあなたのお悩み解決に繋がれば幸いです。
関連記事│「小児訪問看護に関わる看護師の悩み① 重症心身障害児を看る不安と保護者との信頼関係構築」
子どもの障害の受容
子どもの障害の受容は、家庭で子育てをしていく中でとても重要です。しかし、医療的ケアが必要なお子さまの退院に同意したからといって、必ずしも保護者さまが子どもの障害をすべて受容したわけではありません。
子育てが初めてで戸惑ったり、障害を持つ子どもにどのように接すれば分からず不安だったりし、なかなか障害を受容できない保護者さまもいます。
保護者の気持ちを受け止める
訪問看護では、保護者さまの言動や表情から、障害の受容の程度を確認するケースが多くあります。また、受容の過程や程度は人それぞれです。
まずは保護者さまの現状を知り、そしてもし、子育てについての不安や戸惑いの気持ちを直接聞くことができるようであれば、その気持ちを受け止めましょう。
訪問看護師が保護者さまの気持ちを受容することで、保護者さまも気持ちの整理ができ、お子さまの障害の受容に繋がっていきます。
関連記事│「訪問看護の看護師に必要な知識とスキルとは?」
子どもの変化や成長を保護者に伝える
障害を持つお子さまの成長は、時に見逃してしまいそうなほど小さな場合があります。そのため、日々子育てや家事、仕事などに追われている保護者さまにとって、お子さまの成長を感じることが難しく、
「何をやってもこの子には伝わらない…」
「話しかけてもきっと理解できていない…」
「表情に出すこともできない…」
とネガティブな気持ちになってしまうこともあります。
そんなときは、お子さまの変化を訪問看護師がしっかりと伝えることが大切です。
「あ、いま笑ってくれましたね」
「今日はちょっとしんどいかな?」
お子さまの変化は一瞬で、ともすれば見逃してしまうほど些細なものかもしれません。
しかし、保護者さまとその変化を一緒に確認していくことで、保護者さまもお子さまの変化や成長が分かるようになり、
「この子に伝わってるんだ」
「この子にもっとできることがあるかも」
と感じられるようになるかもしれません。
そうなれば、保護者さまからお子さまへの接し方も自然と変わっていくでしょうし、それがお子さまの成長を促すことにも繋がっていきます。
きょうだい児への配慮
保護者が子どものケアや観察にかかりきりになってしまうことで、きょうだい児に影響が出てしまうケースがあります。たとえば、医療的ケアが必要な下の子に保護者がかかりきりになってしまい、上の子が赤ちゃん返りをしてしまった、というようなケースです。
社会資源の活用
訪問看護の直接の対象は、医療的ケアが必要な子どもですが、きょうだい児への支援も重要です。医療的ケアが必要な子どもが在宅で過ごす場合、多くの保護者はきょうだい児に寂しい思いや我慢させてしまっていることを理解しながらも、どうしてもケア児に気を配ってしまいます。
そんなとき、訪問看護師で対応可能な相談内容であれば、看護師としての知識や経験に基づく助言やアドバイスを行うのも一つです。
また、訪問看護では対応できない場合、行政や保健所などの他機関へ繋げることも訪問看護師として大切な業務の1つです。
社会資源を上手に使えるようにサポートし、きょうだいも一緒に育てられる環境づくりを支えていくことも重要です。
きょうだい児のレスパイト
きょうだい児の「赤ちゃん返り」は見捨てられ不安の現われである可能性があります。見捨てられ不安は、場合によっては成長の妨げとなったり、境界性パーソナリティ障害などに発展したりすることもあります。
そうならないためにも、保護者さまがきょうだい児との時間を作れるよう、看護師が訪問を調整することもあります。
看護師が医療的ケア児を看ている間に、保護者さまがきょうだい児と出掛けたり、行事に参加したりできるようにすることで、きょうだい児のレスパイトともなります。
また、必要に応じてショートステイの活用を提案するなど、お子さまの状態や家族の状況に応じて支援しましょう。
まとめ
小児訪問看護は、お子さまのケアだけでなく、保護者やきょうだい児など、家族への支援を行うことも大切です。お子さまの成長を見つけたり、保護者さまやきょうだい児の変化に気づくことが、訪問看護師として必要なスキルの1つになります。
とはいえ、このようなスキルを身につけるには経験が必要な部分もあります。
経験をひとつひとつ積み重ねて自身が成長していくことで、お子さまやご家族もきっと成長することができるはずです。
メディケア・リハビリの訪問看護ステーションでは、新人に限らず、全ての看護師が同行訪問などを行い、経験とスキルをしっかりと身につけられるようサポートしています。
不安があれば同僚や先輩、上司とともにお子さま宅へ訪問し、手順の確認やスキルの研鑽に役立てています。
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